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“お尻の大きさ”に記者がザワついて“ニヤリ”…ダルビッシュ有35歳が歩むパワーピッチャーの道「ちょっとパッドいれてます(笑)」
posted2022/03/23 06:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
晴れわたる青空、映える新緑の芝生、響き渡るキャッチボールと打球の音。米国にBASEBALLがようやく戻ってきた。
3月14日、予定より3週間半遅く始まったキャンプは通常の半分の期間しかない。開幕は4月7日。選手たちにとって、例年とは違うイレギュラーな準備が強いられる。それでも、彼らはやはり野球選手だ。表情はとてつもなく明るく、ようやく訪れたこのときを楽しんでいるのが手にとるようにわかる。
「イレギュラーですけど、自分は毎年3月のはじめの方くらいの状態に持ってきてはいたので、全然全く問題ないです」
こう笑顔で話したのはメジャー11年目を迎えたパドレスのダルビッシュ有だった。
「ストレスも何もないのでむしろ楽しかった」
ロックアウトは、一部選手たちに大きな影を落とした。ケガから復帰過程の選手は、球団の医療スタッフのもとでリハビリが許されなかった。米国市民や永住権を持っていない外国人選手は、新規ビザの発給をオーナー側が停止したため、米国に入国さえできなかった。弊害の大きい選手は多くいたが、米国でのステータスを持ち、温暖なサンディエゴで練習を積み上げてきたダルビッシュには、それほど大きな問題はなかった。むしろ、置かれた状況を前向きに捉え、トレーニングに集中していたという。
「全然何も苦労してないので。むしろ人に会わないし、自分のペースで自分のやりたいことができるし、ストレスも何もないのでむしろ僕は楽しかった」
切り替えのうまさ、ポジティブな心持ち。15年にトミー・ジョン手術を経験しながらも日米17年間のプロ生活で172勝を積み上げてきた選手のメンタリティーを感じさせる言葉だった。
キャンプ2日目、ダルビッシュは早くもライブBP(実戦形式の投球練習)に登板した。最速は96マイル(約154キロ)。切れ味鋭いカットボール、スライダー、カーブ、スプリットも投げ込み、36球でストライクは26と安定した制球力を示し、無安打、無四球、3三振。マイナーの打者では相手にならなかった。