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「また一から出直したい」横峯さくら(36)が7年間の米挑戦に終止符…今後は日本ツアーに専念、母となっても“結果”を求める理由
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2022/04/14 06:00
2015年から米女子ツアーを主戦場に戦ってきた横峯さくら(36歳)。今季から拠点を日本に戻して活動することを決めた
「今週は夫の両親が、先週の九州では私の両親が息子の面倒を見てくれました。シーズンオフの時は練習場に息子も一緒に行き、息子がベビーカーに乗りたがらない時は、夫が抱っこしてくれます。見てくれる人がいるときは遠慮なく甘えることで、やっと試合に臨めていますね」
アメリカでは“お母さんゴルファー”がよりプレーに集中できる環境をサポートするため、子どもを預かるデイケアサービスが設けられ、無料でケアを受けられる。国内ツアーではまだそういった制度はないが、横峯が協会に要望したことで、今年3月に国内で初めてツアーに託児ルームが設けられた。
「ゼロをイチに変えられたと思う。託児ルームができたら、次はベビーシッターさんに頼めるシステムを作る。それも私のゴールの1つです」
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アメリカでの経験を日本に還元したい。後輩たちが子育てしながらゴルフを続けられる環境を整えていけるように働きかけていきたい。横峯は、それを実現するためにも「結果」が必要だと感じている。
「これからも発信していきたいですし、発信する力っていうのは、成績を出した時にポーンって影響力が出てくると思う。やっぱり結果を出したいですね」
「楽しかったです!」
米ツアーの産休制度の適用を受け、8月のAIG全英女子オープンの出場資格はある。勝負できる準備が整ったと感じれば、いつでも海外メジャーに挑戦するつもりだ。また、今シーズンから海外メジャーでの獲得ポイントが日本ツアー3日間大会の4倍にあたるルール改正が行われたことも、今後のモチベーションにつながっている。
振り返れば、15年に主戦場をアメリカに移していなかったら、とっくの昔に引退していたかもしれない。
「2009年に日本で賞金女王になった頃は、ゴルフかプライベートのどちらかを選ばなければいけないと思っていました。でもアメリカで仕事と子育てを両立する選手を目の当たりにして『結婚しても、ゴルフを続けられる』ということを知ることができました。(米ツアー参戦時は)燃え尽き症候群になって、ゴルフを嫌になっていた時期もあったんですけど、視野が広がったことで、ゴルフが好きと思えるようになったし。それにアメリカに行かなかったら、トロ(愛犬)とも出会えていないので(笑)」
米女子ツアーで戦い続けた約7年を「楽しかったです!」と笑顔で締めくくった横峯。母となって逞しさを増した彼女の声が、カリフォルニアの輝く太陽の下で響いていた。
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