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「えげつないパンチ力」で「凄くいい人」とゴロフキンを評する村田諒太…8年間、哲学書や“辰吉丈一郎の本”を読んでたどりついた“ある境地”とは
posted2022/04/09 11:03
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
KYODO
村田諒太は、ありのままだ。
ゲンナジー・ゴロフキンとの日本ボクシング史上最大の一戦を2日後に控えてWBAスーパー、IBF世界ミドル級タイトルマッチ(4月9日、さいたまスーパーアリーナ)の調印式に臨んだ彼は、代表質問者から今の心境を問われるとこのように応じた。
表情は硬くも、柔らかくもない
「試合があさってですので、きょう、あした、あさってといろいろ感情が動くと思うんですね。一定になることはないと思うので、(今は)こういう感情だと言えない。言うとウソになってしまうというか、予測できない。なので実際に試合ができるあさって、リングに立つ瞬間にどういう感情になっているかその場で感じたいし、その感情の動きを自分自身しっかり見ていきたい。自分自身を俯瞰して見ていければいいなと思っています」
表情は硬くも、柔らかくもない。表現するなら「素」。
2年以上も試合から離れ、ゴロフキンとの試合が決まったら決まったで、今度はオミクロン株による入国制限で延期になった。そして隣には日本にやって来たゴロフキンがいる。
記者会見の後方席から彼になったつもりで妄想する。
やっと試合ができるという安堵もあるだろう。高揚もあるだろう、その一方で不安だって出てくるだろう。
いや、待てよ、と思った。メディアのみならずゴロフキン陣営が村田の心理を読み解こうとするなら別に心のうちを正直に語らなくたっていい。