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ゴールドグラブ賞5回の名手をコンバートして…鈴木誠也がカブスで手にした“5年総額102億円”だけじゃない「すべてが良すぎる」高待遇とは
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2022/04/06 06:00
鈴木誠也の当初の希望は「温暖な気候」で「優勝を争えるチーム」。対するカブスは再建途上で本拠地は寒冷な気候のチームだった
ほぼ「駆け込み」のような形で決まったロサンゼルス市内での最終交渉の場所として、カブス側は堅苦しいオフィスビルなどではなく、カジュアルな日本食レストランをセッティングした。しかも、交渉のテーブルには、フロリダ州内に自宅を持つオーナーのトム・リケット氏が、遠路遥々駆け付け、「Suzuki」のネーム入りユニホームを目の前に広げた。その並々ならぬ熱意だけでなく、5年総額8500万ドル(約102億円)の年俸に加え、FA(フリーエージェント)市場のトップクラスの選手でも10~15球団とされるトレード拒否権を全球団に広げるなど、他球団が太刀打ちできないほどの好条件を土壇場で提示し、鈴木を口説き落とした。
ホイヤー編成本部長は、入団会見の場で、あらためて今後のチームとしての視野と鈴木への期待を明かした。
「未来を見るうえで、この契約は避けられないものだった。我々は、次世代の偉大なカブス球団を構築するために、多くの話をしてきた。現在の過程と将来的に成功するうえで、誠也が重要な役割を担ってくれると信じているからこそ、5年の契約を結んだ」
無論、鈴木を特別扱いするわけではない。だが、入団決定後は、通算158本塁打、ゴールドグラブ賞5回のベテラン、ジェイソン・ヘイワードを中堅にコンバートし、鈴木の受け入れ態勢を整えた。故障がない限り、少なくとも今後5年間は、カブスの右翼手を鈴木に託すという、明確な意思表示だった。
高待遇がゆえ求められる結果
3月25日、本拠地メサで行われたロッキーズとのオープン戦に初出場した鈴木は、足の震えを必死にこらえながらも、ファンの大歓声を耳にすると、気持ちを新たにした。
「うれしかったですし、その分しっかり結果を出していかないといけないなと改めて思ったので、これからしっかり頑張っていきたいと思います」
大型契約を結び、看板選手として期待されればされるほど、結果を残さなければ容赦ない批判が待ち受ける。
再建途上のカブスが目指すのは、3年後のポストシーズン進出と世界一だ。
開幕は7日(日本時間8日金曜、午前3時20分)ともうすぐに迫っている。
侍ジャパンの4番を担った鈴木誠也が、未知の挑戦へいよいよスタートを切る。