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ゴールドグラブ賞5回の名手をコンバートして…鈴木誠也がカブスで手にした“5年総額102億円”だけじゃない「すべてが良すぎる」高待遇とは

posted2022/04/06 06:00

 
ゴールドグラブ賞5回の名手をコンバートして…鈴木誠也がカブスで手にした“5年総額102億円”だけじゃない「すべてが良すぎる」高待遇とは<Number Web> photograph by Getty Images

鈴木誠也の当初の希望は「温暖な気候」で「優勝を争えるチーム」。対するカブスは再建途上で本拠地は寒冷な気候のチームだった

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 背番号「27」の真新しいユニホームに袖を通した鈴木誠也は、アリゾナ州メサのキャンプ施設内で行われた入団会見の席で、目映いばかりのフラッシュを浴びながら、やや緊張気味に決断までの経緯を語った。

「すべてが良すぎて、家(滞在先のホテル)で見て涙するくらい本当に素晴らしいものだったので、心臓がバクバクしました」

 昨年11月のポスティング申請後、12月2日にロックアウトされるまで、鈴木獲得には12球団が興味を示した。そのうち8球団とオンライン会議が行われた末、熾烈な争奪戦を制したのは名門カブスだった。

 2016年、108年ぶりに悲願の世界一まで登り詰めたカブスも、近年は大きな過渡期を迎えていた。20年オフにダルビッシュ有がパドレスへトレード移籍しただけでなく、7月には主力のアンソニー・リゾ(現ヤンキース)、ハビアー・バエズ(現タイガース)、クリス・ブライアント(現ロッキーズ)ら高額年俸選手を続々と放出し、チームを解体した。その結果、昨季は71勝91敗と、ナ・リーグ中地区4位に沈んだ。

「反対側でお待ちしている」

 チーム再建への舵を握るジェド・ホイヤー編成本部長は、昨シーズン終了後、「我々は競争できることを信じられるチームを作りたい」と公言。その中心的存在として白羽の矢を立てたのが鈴木誠也だった。争奪戦の最終段階まで劣勢が伝えられていた一方で、ロックアウト解除直後には、鈴木の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏に「我々のことも忘れないでくれ。反対側でお待ちしている」と、交渉再開を熱望した。冬場は平均気温が氷点下まで冷え込む寒さの厳しいシカゴは、鈴木が希望していた「温暖な気候」でもなく、現在のカブスは「優勝を争えるチーム」でもない。

 だが、カブスは最後の最後まであきらめなかった。

【次ページ】 高待遇がゆえ求められる結果

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