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《現地最新》冷静すぎる鈴木誠也27歳「打っても3割」「審判と勝負したらダメ」 イチロー、松井秀喜にも通じる“打者の本能”とは?
posted2022/04/03 11:03
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
鈴木誠也の取材を始めてから2週間にも満たない。だが、彼は大きく期待できる。そんな確信めいたものを、彼は日々、取材者に与えてくれている。まだ27歳の若者でありながら、変化を恐れず、捨てる勇気を持ち、新たな環境を楽しめるメンタリティーさえも持ち合わせている。そんな彼に「惑わない男」の格好よさを感じる。
3月30日。鈴木はオープン戦出場4試合目、通算11打席目に初安打が生まれた。しかも中堅左へ放物線を描いた豪快な初本塁打。ベンチに戻った彼をナインが笑顔のハイタッチで迎える。チームメートの心遣いが何より嬉しかったが、自分の打撃に納得できる部分はないと言った。
「たまたまって感じですね。こすっていたのでどうかなという感じはありましたけど。自分のバッティングに関してはまだまだ。全然ダメだと思うので。ここ(アリゾナ)飛ぶので。それのおかげで入りました」
打撃への意識が高い選手であることは理解していた。それでも本塁打を打って「全然ダメ」という言葉はなかなか聞いたことがなかった。こんなところも彼は期待できると感じる所以だ。
「打っても3割」明かした“捨てる勇気”
本塁打の打席まで10打席で5三振。「タイミングが合わない」と話した。無理もない。ロックアウトで契約が遅れ、チーム合流は18日。ましてや初めての環境で、相手は初対戦の投手ばかり。それでも彼は当てにいくようなアプローチはしなかった。常にフルスイング。タイミングが合わず、不恰好な空振りがあっても気にしない。「打っても3割」と捨てる勇気を持つ鈴木が打撃への意識を話してくれたのはオープン戦開始前のことだった。
「試合は今までやってきたことが勝手に出るだけなので。準備はちゃんとやっていますし、打てようが打てなかろうが、自分の中ではいいと思っている。そしたら、自分の中で課題も出てきますし、それを練習でつぶせばいい。ひとつひとつを楽しみながらやりたい」