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エフフォーリアの“敗因”は謎のまま? なぜ大阪杯で“2強”は惨敗、8番人気ポタジェが勝てたのか「かつてはトウカイテイオーも…」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byJIJI PRESS
posted2022/04/04 11:30
4月3日の大阪杯でレイパパレ、アリーヴォに競り勝ちGI初制覇となったポタジェ(中央)
半姉にルージュバックのいる超良血
そう吉田が振り返ったように、道中はジャックドール、レイパパレら、強力な先行馬を前に見ながら、抜群の手応えで5番手を進んだ。吉田はつづける。
「ペースは速いと思いましたが、勝つにはついて行くしかなかった。最後はレイパパレを見ていました。あの馬も一杯になっていたので、ぼくのほうもがむしゃらに追いました。綺麗には追えなかったですが、よく頑張ってくれました」
ポタジェは、半姉に、牝馬として51年ぶりに制したきさらぎ賞をはじめ、牡馬相手の重賞を4勝したルージュバックのいる超良血だ。一昨年7月の1勝クラスから昨年1月の白富士ステークスまで4連勝。その後、金鯱賞3着、新潟大賞典2着、毎日王冠3着と差のない競馬をつづけ、エフフォーリアが勝った天皇賞・秋は6着、今年初戦のアメリカジョッキークラブカップは5着、前走の金鯱賞は4着だったが、着順ほど大きく負けてはいない。
こうして見ていくと、きっかけひとつでGIを勝っても不思議ではない能力の持ち主だったことがわかる。友道調教師によると、使うとよくなる馬なので、金鯱賞から中2週というローテーションに不安はなかったどころか、むしろプラスととらえていたようだ。
ポタジェの勝因と同じくらいか、それ以上に気になるのは、二強──エフフォーリアとジャックドールの敗因である。
横山武史、鹿戸調教師が語った“エフフォーリアの敗因”
単勝1.5倍のエフフォーリアは、昨年はどのレースでも折り合いがカギと言われていたほど前進気勢の強い馬なのだが、今回は、折り合っていたというより、進んで行かなかった。道中は中団の8、9番手につけ、3、4コーナーから上がって行くのかと思いきや、ついて行くのがやっとで、直線でも伸びず、ポタジェからコンマ7秒離された9着。故障が心配されたほど、精彩を欠いた走りだった。
騎乗した横山武史は、ゲート入りする前から不安を感じていたようだ。
「返し馬でピリッとさせようとしたのですが、この馬らしくなかった。1週前の調教の動きが重くてメリハリのなかったことが、今回出てしまったようです」