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格闘技PRESSBACK NUMBER
「たかがサッカー。運動神経高いやつは野球をやる」元Jリーガーと元プロ野球選手(ドラ2)が殴り合いをしたら、どちらが強い?の結果
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byRISE
posted2022/04/04 11:02
39歳で年収約1000万円の仕事を捨て、年俸120円のJリーガーになった安彦考真(44歳)。2年前に引退した彼はなんと格闘家に転向
W杯アジア最終予選で一時苦戦したサッカー日本代表では、長く不動のレギュラーとしてプレーしてきたベテラン長友佑都の起用法をめぐり衰えを指摘する声が挙がると、「批判はガソリン」と奮起する長友の姿があったが、安彦もまた批判は大きなエネルギーになると強調する。
「バチンッと殴られたときに、ウワって引いてしまうか、テメーって向かっていくか。どちらかといえば、僕は完全に後者です。格闘家を目指すと言ったときもネット上でたくさんの誹謗中傷を受け、それで奮起した部分はありました。相内くんとの試合でも挑発されたことが僕のパワーになったことは間違いないし、これまではどこの誰に批判されているかもわからなかったのに、面と向かって自分をおちょくる人が出てきてくれた。こんなに力の湧くことはないですし、しかも、その人と合法的に殴り合える舞台が用意されていたわけですから。
長友くんもサッカーを引退したら格闘技やったらいいんじゃないですか。きっと素質があると思いますよ」
44歳新人格闘家は「RIZINに出場したい」
安彦が格闘家を目指すと決めたときに1つの目標にしたのが、毎年12月31日にさいたまスーパーアリーナで行われるのが恒例のRIZIN(総合格闘技イベント)への出場だった。昨年は惜しくも出場は叶わなかったが、今後はどこを目指すのか。
「格闘家としてまだ伸びシロがあるのか、ここが限界なのかはわかりません。当初挑戦は1年の予定でしたが、いまはもう少し自分なりにチャンスを見つけていければという感じです。もちろん1試合ずつが勝負で、次の試合が最後かもしれないし、状況によってはあと3年やるかもしない。
とにかく、いまは主催者側に面白いやつだと思ってもらえるようにできることをやるだけ。ただ、昨年よりは確実に(RIZIN出場に)近づいている気はします」
当初、元Jリーガーの43歳からの格闘技挑戦はイロモノと見られることもあったが、安彦は本気で挑戦を続けることでそうした見方も変わってくると信じている。
「ここからが王道を歩めるかのスタートライン。もちろん格闘家のトップに立ちたいとかそういうことではなく、自分の生き様を見せられるかどうか。11人でやるサッカーでは情けない試合をしても誰かのせいにもできましたが、格闘技はリングに立つのは自分1人でそうはいかない。
僕は試合に向けてリングで倒れ天井を見ているところをイメージして、そこから巻き戻して何が足りなかったのかを考えて準備を始めました。試合になれば、勝つか負けるかのどちらかしかありません。大事なのは、仮に負けたとしても自分の戦いを喜んでもらえるか、感動させられるものがあるかどうかだと思うんです。
自分の意見は言えば言うほど怖くなりますし、『言ってることとやってることが違うじゃねえか』と突っ込まれます。でも、僕は弱い人間だから言わないと逃げ出してしまう。だから、逃げ出さないためにも思ったことは公言するようにしているんです」
<後編へ続く>