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格闘技PRESSBACK NUMBER
「たかがサッカー。運動神経高いやつは野球をやる」元Jリーガーと元プロ野球選手(ドラ2)が殴り合いをしたら、どちらが強い?の結果
posted2022/04/04 11:02
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
RISE
『たかがサッカー。運動神経高いやつは野球をやる』
「彼の主戦場だと思っていた1ラウンドで倒せたことは、僕にとって大きかった。試合が長くなればなるほど流れが来ると思っていましたが、まさかあの膝蹴りで倒れるとは……。パンチもキックも距離の取り方も練習でやってきた通り。その前にダウンを奪った右フックが相当効いていたんだと思います」
元Jリーガーにして、2月16日の「RISE FIGHT CLUB(オープンフィンガーグローブマッチ、3分3R)」で格闘家としてプロデビューした安彦考真(Executive Fight武士道)は、1ラウンド1分51秒でKO勝ちした相内誠(K26)との初陣をそう振り返った。
19年3月に41歳でJ3のY.S.C.C.横浜でJリーグにデビューした安彦の経歴が異色なら、対する相内も元プロ野球選手で埼玉西武ライオンズ(12年ドラフト2位)に7年間投手として在籍した経歴があり、2人の対戦を前に“サッカー対野球の格闘技戦”と煽る声もあった。
年齢差(44歳対27歳)、身長差(175センチ対185センチ)に加え、プロ格闘家としてのキャリアも上回ることから戦前の予想は「相内優位」と見る向きが多かった。だが、蓋を開けてみたら17歳年長で、リーチでも不利とされた安彦が勢いで圧倒した。
「身長差はありましたが、デカい相手と対峙するのはサッカーで慣れていました。試合前にはおっさん呼ばわりされるなど、かなり挑発されましたが、相内くんなりに試合にかけていたんだと思います。ただ、『たかがサッカーでしょ。運動神経高いやつは野球をやる』って言われたのには頭にきたし、サッカーの面子を守るためにも勝ててホッとしています」
「サッカーでは限界がありました」
安彦はそもそも日本代表選手のマネジメント、通信制高校の講師などをして働き年収約1000万円を手にしていた。だが、39歳だった17年夏に一度すべての仕事をやめて無謀とも思えたJリーガーになるという夢を叶えた。そして、Jリーガーとして3年を過ごすと、20年12月のシーズン最終戦後の引退セレモニーで格闘家への転向を公言し、再び周囲を驚かせた。
人気バラエティ番組「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日系)にも2度の出演を果たすなど、その生き方はまさしく“激レア”だ。いったい何が安彦を動かしているのか。