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格闘技PRESSBACK NUMBER
「私たちはさ、消費されることにものすごく敏感だよね」ジェーン・スーと青木真也はなぜ“ロイホの3時間”を大事にするのか?
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byYuki Suenaga
posted2022/03/25 17:00
お互いに“ソウルメイト”と認め合うジェーン・スー(48)と青木真也(38)の特別対談
スー 一度バラエティのレギュラーをやって、ああ、これはちょっと私に向いているものじゃないなと思いまして。それ以降は、基本的には自著の話ができる番組以外には出ていないですね。あと、匿名性って一番買い戻せない高価なものなので。前に青木さんが「いかに街中で格闘家とバレないようにするか」と言っていたのを、いまではすごく理解できるようになった。
青木 でしょ? 格闘技の選手はさ、年収自慢とか、「ハイヤーを使っているのがカッコいい」みたいに見せる人が多いんだよね。「金持ってんぞ。カマすぞ」ってジャラジャラした感じ。それを見て僕が「ああ、コイツかわいそうだな」って言ったら、若い子が「なんでですか?」って聞くわけです。「だってもう普通に暮らせないじゃん」って。
スー そうなのよ。まさに「普通に暮らせないこと」が私たちには一番のリスクなんです。
青木 普通に暮らせなくなったら終わりですよ。
スー 先日ちょっといろいろあって、「ご飯おごるよ」って話になって。青木さんに指定されたレストランはロイヤルホストでしたからね。ロイホで3時間くらい喋って、「おつかれっす~」みたいな。
――素晴らしい(笑)。一番楽しいやつですね!
青木 それを手放したくないんです。
スー 本当にそう。
青木 だからもう、Twitterのフォロワー数的には限界ギリギリ。
「人生が『トゥルーマン・ショー』みたいになってくる」
――おふたり的にはどこが「越えたくないライン」になるんでしょうか。
スー 街中で頻繁に声をかけられる。そこはいっちゃダメかな。
青木 ダメですよ。自分がやりたい生活ができなくなる。
スー できなくなりますね。人生が『トゥルーマン・ショー』みたいになってくるはず。基本つねに見られている可能性があって、たとえばちょっと振る舞いが悪いとSNSでなにか言われるとかが出てくる。もちろん、そういうのが大丈夫な著名人もいますよ。めちゃめちゃテレビで顔が出ているのに平気で電車に乗れるという人もいるんですけど、私はちょっと……たぶん無理なので。
青木 そうなったら負け。
スー あくまでも青木さんと私のなかではね(笑)。
(写真=末永裕樹)
<後編へ続く>