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「正当な評価がない」「女の幸せを選べない」ジェーン・スー48歳と青木真也38歳が語る“コンプレックスのある人生をどう生きるか”

posted2022/03/25 17:01

 
「正当な評価がない」「女の幸せを選べない」ジェーン・スー48歳と青木真也38歳が語る“コンプレックスのある人生をどう生きるか”<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

お互いに“ソウルメイト”と認め合うジェーン・スー(48)と青木真也(38)の特別対談

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga

文筆家と格闘家の仕事は「本質的に同じ」ものだった? それぞれの持ち場で息長く活躍するためにふたりが採用した生存戦略とは――。

前編に引き続き、ジェーン・スーさんと青木真也選手のスペシャル対談をお届けします(全2回の2回目/前編を読む)。

エッセイを読んで「これ読むのしんどいっすね」

――昨年12月に上梓されたスーさんの新刊『ひとまず上出来』について、青木さんも感じるところがあったと伺っています。

ジェーン・スー(以下、スー) 本を送って、たぶん一番最初に感想をくれたのは青木さんなんですよ。

青木真也(以下、青木) 読んでいて、すごくつらい気持ちになって。

スー 読み始めてすぐに「しんどい」って連絡くれたからさ。早いって(笑)。でも書かれていた内容は、女性としてこの国で生きていくとブチ当たる、本当に当たり前のところなんですよ。ジェンダーロールについて書いた「電車のなかで膝を開く話」とか、「外に下着を干せない」とかね。それを読んで「胸が苦しい」って感想をくれたことに感激しました。

青木 僕が思ったのは、女性だから苦労していることって、やっぱりここまで丁寧に書いてくれないと(男性には)なかなかわからないからさ。

スー 青木さんは「大変だね」じゃなくて、「読み進めるのがつらい」というリアクション。そういう共感力を持っている人って、男性にはほんと少ないので、嬉しいな、ありがたいなと思いました。

――特に青木さんが「苦しくなった」のはどんなところですか?

青木 要は、座るときに膝を開いてしまうと「女性らしくない」と言われる。その「らしさ」という話をすると、僕も「格闘家らしくない」「チャンピオンらしくない」とずっと言われてきたわけですよ。その前に「俺は俺なんだ」って思うじゃないですか。「男らしさ」みたいなこともずっと言われてきて……。やっぱりあらためて文字で読むときっついな、と。それでスーちゃんに「ちょっとアニキ、これ読むのしんどいっすね」と連絡しました。

スー そのたびにすぐ「アニキじゃねえし」と訂正を入れて。

青木 僕なんかはさ、わりとオラオラした方の価値観の人じゃん。「男」っていうゲームもしんどいけどさ、女性であるから損をすることって、やっぱりあるんだね。それだけで痴漢されたり、DMとかで卑猥な画像を送りつけられたり。

スー めちゃくちゃあるだろうね。タグが「女」であるというだけで、私にすら不愉快な出来事が起きますから。異性愛者の男性から性欲だけを向けられたときは、やっぱりちょっと同じ人間だと思われてないなというのがある。

「青木さんはホモソに順応はできるけど、加担はしない」

――ジェンダーの話に関連づけると、格闘技界や柔道界はホモソーシャル感が強いイメージがあります。

青木 それ自体が完全に悪いとは言わないけど……。僕はどうなんだろう。ホモソなのかな。

【次ページ】 「アカレンジャーやアオレンジャーじゃないんだよね」

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