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大谷翔平の“2年連続MVP”は可能でも、サイ・ヤング賞は「あり得ない」? 米国解説者が指摘するカラクリと“投手・大谷”のカギとは
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2022/03/22 17:03
今季も投打での活躍が期待される大谷翔平
現地では「MVPは野手から選ぶべきだ」という議論も
もしも大谷が26試合に先発し、160イニング前後を投げ抜くことができて、デグロムやバーンズのように防御率や奪三振、あるいは奪三振率で他を寄せ付けない「無双」を見せつければ、不可能が可能になってしまうことも充分に有り得るわけだ。
ちなみに米メディアの中には、サイ・ヤング賞を「投手のMVP」と言う人がいて、2011年のジャスティン・バーランダー(当時タイガース 現アストロズ)や、2014年のクレイトン・カーショウ(ドジャース)がサイ・ヤング賞とMVPを同時獲得した際には、「MVPは野手から選ぶべきだ」などという論議も起こった。
それらの年は野手の中に突出した選手がおらず、本来は個人賞に関係のないはずの「チームの優勝に貢献した」という部分がMVP投票の際に大きく評価されたと言われている。それはサイヤング賞も同じで、個人がいくら頑張って目標の数字を残しても、ほかの選手がさらに上を行けば、相対的な判断により、投票結果も変わってくる。
「投手・大谷」のベストはまだこれから
過去数年の傾向から、エンゼルスに期待している人は少ないかも知れないが、その偏見を覆して、チームと大谷の勝ち星が伸びれば、地区優勝やワイルドカード獲得にも近づくし、たとえ届かなかったとしても、「最後の最後までペナントレースを戦った」という痕跡さえ残れば、それがMVP投票であれ、サイ・ヤング賞投票であれ、大谷に票が集まる可能性は高くなる。
希望的観測を書いてしまうのは、我々日本人メディアの悪癖だとは分かっている。
だが、2018年に大谷がデビューした当時、彼がメジャーリーグで「二刀流」をやり抜き、その結果、MVPまで獲得するなんてことを想像した人は少なかったはずだ。
今は誰にとっても大谷がサイヤング賞を獲得するなんてことは夢物語に過ぎないだろうが、メジャーリーグにおける「投手・大谷」のベストはまだ見ていない。そう思っている日本人は多いのではあるまいか――。
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