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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
J8年間で公式戦出場ゼロ…異例のサッカー人生を送るGKに刻まれた水戸の記憶と浦和の熱狂「それを新宿でやることに価値がある」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byCriacao
posted2022/03/12 17:01
今季からJFLに昇格を果たしたクリアソン新宿の守護神・岩舘直。新シーズンはリーダーとしての役割も担う
誠実に、実直にサッカーと向き合うことでキャリアを切り開いてきたが、その姿勢は仕事の面でも生かされている。
2021年12月には四谷地区青少年育成委員会による子ども向けのサッカーフェスティバルが開催され、岩舘らクリアソン新宿の選手たちも参加し、子どもたちとの交流を図った。
「コロナ禍で子どもたちとなかなか交流できなかったんですけど、常日頃からコミュニケーションを取っている方からの紹介で実現しました。別のイベントの現場でも、ある学校の校長先生と話ができて、『新宿にサッカークラブがあるなら、学校の授業としてサッカーをやってくれないか』とか、『うちには陸上選手も所属しているので、走り方教室もできますよ』とか、提案し合うことができた。苦手な仕事はたくさんあるんですけど(苦笑)、人と接して直接話すなかで、『こういうのはどうですか?』と提案するのは、得意なほうかなって」
足を運んだ先に新しい出会いがあり、それをきっかけに交流の輪が広がっていく。
2022年シーズンに挑むJFLの舞台は、クリアソン新宿にとってはネクストステージとなるが、高校卒業後にJFLでプレーした岩舘にとっては原点とも言える場所だ。
このオフにはチームを引っ張ってきた井筒陸也、大谷真史、小林祐三がスパイクを脱いだ。今年34歳となる岩舘には、リーダーとしての役割も求められるに違いない。
「クリアソンの理念を濃度高く保ちながら、上のカテゴリーを目指していくことは、挑戦だと思っています。勝つためには理念に関係なく、やんちゃな選手もいたほうがいいとか、上に行けば行くほどそういうことを問われるはず。でも、一つひとつクリアしていく過程も楽しいだろうし、そういうチームが結果を残したときのインパクトも大きいと思うんです。それを新宿でやろうとしていることに、価値があるなって」
2022年3月13日のFC大阪戦で、岩舘直は自身の原点であるJFLのピッチに戻る。10年前とは違い、決して少なくない自信と経験、新たな夢を携えて――。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。