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〈巨人ドラ1〉大勢の真っ直ぐがスゴい! シーズン中に“クローザー”もあるか…中日・星野監督の与田剛起用以来、“新人でも守護神が務まる”ワケ 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/03/12 11:04

〈巨人ドラ1〉大勢の真っ直ぐがスゴい! シーズン中に“クローザー”もあるか…中日・星野監督の与田剛起用以来、“新人でも守護神が務まる”ワケ<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

3月6日の日本ハムとのオープン戦で登板した巨人・大勢。自己最速の158kmを記録し、1回無失点に抑えた

 だとすれば思い切ってビエイラの状態次第では、シーズン中に大勢を一気にクローザーに抜擢するという案が出てくる可能性は大いにありそうだ。

 クローザーの適性として挙げられる一番の条件は、まず空振りを取れる球種を持っていること。大魔神こと横浜(現DeNA)の佐々木主浩投手ならフォークであり、最多セーブの日本記録を持つ中日・岩瀬仁紀投手ならスライダー、またヤクルト・髙津臣吾監督の現役時代のシンカーなどがそれに当たる。

 そしてもう1つとして言われてきたのが、数々の修羅場でマウンドに上がらなければならないことから、それを乗り切るための経験値の高さだった。1つのミスも許されない場面でチームの勝利をかけてマウンドに上がり、たった1球で天国から地獄に落ちることもある。だからこそ経験がものを言うポジションとも考えられてきた。

星野監督の考え“クローザーは最も経験を必要としない”

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 だが、そんな経験主義ではなく、実はむしろ最も経験を必要としないポジションがクローザーだと考えたのが、中日監督時代の星野仙一監督だった。

 星野監督はNTT東京からドラフト1位で獲得した与田剛投手(前中日監督)を、1年目の1990年にいきなりクローザーに抜擢。与田はその年31セーブで最優秀救援投手のタイトルを獲得し、新人王にも選出された。その与田が故障で戦線離脱した翌91年には、またもルーキーの森田幸一投手をシーズン途中から抑え役に起用。森田もまた17セーブを挙げる活躍で新人王に選ばれ、新人でもクローザーが十分に務まることを証明してみせた。

「抑えは投げても1回か2回や。先発投手みたいに5回以上を投げる必要がないから、逆に勢いで押し切れるやろ。経験や駆け引きが大事なのはむしろ先発で、抑え投手に大事なのは気の強さと球の勢いや」

 与田をクローザーに抜擢したときに、星野監督がこう語っていたのを覚えている。

DeNA山崎や広島・栗林もプロ入り1年目から大活躍

 確かにその後は経験というよりは、ボールの勢いと三振を取れる決め球を持つことでルーキーながらクローザーに抜擢された投手が活躍するケースは多く見られるようになっている。

 近年ではDeNAの山崎康晃投手がシンカーを武器に亜大からプロ入り1年目の2015年シーズンに37セーブをマーク。また昨年の広島・栗林良吏投手は53試合の登板でリーグ2位の37セーブを挙げ、新人記録の開幕22試合連続無失点、プロ野球2位タイの20試合連続セーブを達成した。150km超えのストレートと落差の大きなフォークで52回3分の1で投球回を超える81三振を奪ってブレーク。東京五輪では日本代表「侍ジャパン」の守護神として全5試合に登板、1勝4セーブで金メダル獲得の立役者の1人ともなった。

【次ページ】 クローザーの方が「体調管理」でプラス面が生まれる

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