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〈巨人ドラ1〉大勢の真っ直ぐがスゴい! シーズン中に“クローザー”もあるか…中日・星野監督の与田剛起用以来、“新人でも守護神が務まる”ワケ 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/03/12 11:04

〈巨人ドラ1〉大勢の真っ直ぐがスゴい! シーズン中に“クローザー”もあるか…中日・星野監督の与田剛起用以来、“新人でも守護神が務まる”ワケ<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

3月6日の日本ハムとのオープン戦で登板した巨人・大勢。自己最速の158kmを記録し、1回無失点に抑えた

 2人はプロでの経験は皆無でも、力と勢いで1年目から絶対守護神への道を開くことができた。

 大勢には少なくともその力と勢いはある。そして大勢のピッチングを見ていて気付くのが、真っ直ぐばかりに目が行きがちだが、原監督が指摘したように実戦での制球力の良さなのである。

 4度目の登板となった11日のオリックス戦でも8回から1回を投げて無失点。この試合では先頭の吉田正尚外野手に四球を与えたが、ここまで打者14人に対して、与四球はこの1つだけ。初三振を奪った日本ハム戦の今川の打席で見せたように変化球でもストライクを取れるし、オリックス戦では後藤駿太外野手を追い込んでから落差のあるフォークで三振にも打ち取った。精密機械とは言わないが、ある程度のしっかりした制球力を見せている。その点が9回1点差でいきなり四球、死球の可能性のあるビエイラより、ベンチが安心して送り出せる要素となるはずだ。

クローザーの方が「体調管理」でプラス面が生まれる

 そしてもう1つ、大勢をクローザーとして抜擢することで生まれるプラス面が体調管理にある。

 中継ぎ投手の場合は、自分の出番がどうなるか、どこで肩を作り、備えるかは試合展開でコロコロ変わり、調整自体が難しい。セットアッパーでも負け試合の8回に登板するケースはあるが、クローザーの場合は基本的には僅差の勝ちゲームの最終回と、自分の出番を見据えて調整できるメリットがある。

 大勢で一番、心配なのは関西国際大学時代の3年秋に右肘の炎症、4年春にも右肘の疲労骨折と、2度の肘の故障歴となる。そういう意味でもある程度、本人も中継ぎとしてスタンバイするより、出番が決まっているクローザーの方が調整をしやすいメリットがある。もちろん連投は2試合までなどの登板制限は必要だが、1年目としてはむしろ管理しやすいメリットはクローザーの方にあるだろう。

 もちろん前提として、まずはビエイラがどれだけ昨年の夏場くらいの安定感、制球力のあるマウンドを見せるか。そして大勢自身も中継ぎ、セットアッパーとして結果を残すことなのはいうまでもない。

 ただ、勢いのあるルーキーだからこそ、むしろクローザーの方が最良な働き場所になる。そういう可能性があり、大勢はその可能性を秘めた投手だということだ。

 山崎伊織投手に3月11日に支配下選手契約を結んだ堀田賢慎投手ら、この春は若い投手の名前で賑わう巨人の投手陣。もちろん戸郷翔征投手や高橋優貴投手に直江大輔、戸田懐生投手ら既存の若手投手がそれを刺激に奮起することも、原監督としてはチーム活性化の狙いの1つだろう。

 どの若手がどんな役割をこなし、誰がサバイブしてくるのか。

 開幕から1カ月は、まずそこに注目をしたい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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