炎の一筆入魂BACK NUMBER
あのドラ1は今…「同期のドラ2・鈴木誠也と比較され続けた男」広島カープ戦力外・高橋大樹が進む第二の人生は?《大谷翔平も同級生》
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2022/03/09 06:00
2012年に行われたカープの新入団記者会見。前列左からドラフト1位の高橋大樹、野村謙二郎監督(当時)、ドラフト2位の鈴木誠也
12年ドラフト会議で、広島から1位指名を受けて入団した。新井貴浩氏や石井琢朗氏(現DeNA野手総合コーチ)が付けた25番を背負い、ニ軍寮では出世部屋と呼ばれる「104号室」が与えられるなど、スポットライトを浴びた。
ただ、ドラフト順位はプロで年数を重ねれば薄れていく。そもそも高橋には、ドラフト1位指名選手という意識もなかった。
「他の人はドラ1とか言いますけど、入ったら関係ない。ドラ1とかどうでも良かった。プレッシャーとかじゃない、実力です」
プロで確固たる自信を持てなかったゆえ、過信することもなかった。
同期のライバルに差をつけられた理由
誰よりも認めざるを得ない存在が最も近くにいた。1位指名された12年ドラフト会議で、広島が2位指名した、二松学舎大附高の鈴木誠也だ。
1年目から一軍デビュー、初安打を記録すると、瞬く間にチームの中心選手へと階段を駆け上がって行った。技術やパワーだけでなく、プロの世界で求められる、強靭な精神力を持っていた。
ともに過ごした寮生活では「一生バッティングやってるんじゃないか」と思うほどバットを振る姿が強烈に残っている。打ち込む中でも、妥協がない。納得のいかないスイングには自分自身にだけでなく、打撃マシンに対しても暴言を浴びせる夜もあった。グラウンドだけでは感じられない凄みを、毎日のように見せつけられた。
「本当はダメだと思うんですけど、“勝てないな”と思ってしまった。僕は誠也のように肩が強くないし、足もそこまで速くない。最初は飛ばすことでは勝てていたけど、途中から飛距離でも負けるようになった」
同期で同学年、そして同じ野手(鈴木は入団時内野手登録)。メラメラと闘争心が沸き立つのは当然と思われるが、鈴木はそんな炎をかき消すほどの速度で駆け上がっていった。