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あのドラ1は今…「同期のドラ2・鈴木誠也と比較され続けた男」広島カープ戦力外・高橋大樹が進む第二の人生は?《大谷翔平も同級生》

posted2022/03/09 06:00

 
あのドラ1は今…「同期のドラ2・鈴木誠也と比較され続けた男」広島カープ戦力外・高橋大樹が進む第二の人生は?《大谷翔平も同級生》<Number Web> photograph by KYODO

2012年に行われたカープの新入団記者会見。前列左からドラフト1位の高橋大樹、野村謙二郎監督(当時)、ドラフト2位の鈴木誠也

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 プロ野球選手たちが新シーズンに向けて春季キャンプを送っていた2月下旬、昨季まで広島でプレーしていた高橋大樹はパーカー姿で広島駅に姿を見せた。マスク姿からのぞく顔はややふっくらしたように映るが、柔和な表情は変わっていない。

「あの日からバットは握っていません。3月から、大阪に帰ります。あそこでダメだったら、もうダメですよ。前まではやれると思っていたけど、とりあえず、区切りかなと思った」

 意外なほどにすっきりと、第2の人生に気持ちを向けていた。

甘い世界じゃなかった

 昨季終了後に広島から戦力外通告を受け、12月8日のトライアウトを受験するも、プロ球団からのオファーはなかった。まだ27歳。周囲からはNPB以外での現役続行を望む声も多く、働きながら現役を続ける社会人野球のチームを紹介してくれる人もいたという。ただ、トライアウトをひとつのケジメとし、スパッと引退を決意。知人から紹介された大阪市内の一般企業に就職することを決めた。

「野球をやってきて良かったなと思います。結果は良くなかったですけど、野球をやっていなかったら、出会えていない人が多いですから。応援してくれた人たちもいたので、活躍できなかったことは申し訳ないです。でも、そんな甘い世界じゃなかった」

 プロ野球人生を振り返り、悔しさよりも先に謝意を示すあたり、高橋らしいといえば高橋らしい。そういった優しさが、プロで一皮むけられなかった理由かもしれない。そう言うと、本人も「そうかもしれませんね」と笑う。その目には強がりも虚勢もない。

 2年目に一軍デビューするも、その後3年は一軍にすら上がれずに初安打まで5年を要した。2019年に自己最多シーズン27試合出場も、昨年まで現役9年で20安打、1本塁打、3打点。それが、プロで残した数字のすべてだった。

 描いていたプロ野球人生にはならなかったが、歩んできた道に後悔はない。

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