「一軍でプレーしている選手たちは、僕からしたらみんなバケモノですよ。特に同級生は本当、バケモノでしたね」

　あっさりと負けを認めざるを得ない同学年と出会ったのは、初めてではなかった。龍谷大平安高時代、第25回AAA世界野球選手権大会の日本代表には、花巻東高の大谷翔平がいた。打者としては主に4番を任され、投げれば160キロの剛速球。希代の二刀流も目の当たりにした。

「大谷はあのとき、DHでの出場が多かった。打者としてもエグかったですが、当時は投手としての方がもっとエグかったイメージ。すごいどころじゃない、どっちも持っているんですよ。どっちかでいいから欲しいなって思いました」

野球人生に未練なし

　かつてともにプレーした同学年の2人の“バケモノ”は今年、おそらく同じ米大リーグの舞台でプレーすることになる。

「あの2人が、一番上の舞台でやるんですからね。楽しみ……じゃないな。見たいですよ、見たい。そんなおもしろいことないですからね」

　“楽しみ”という表現をあえて否定したのは、野球人としての最後の強がりだったのかもしれない。ひとりは日本の4番打者、もうひとりは常識破りの二刀流。同級生ふたりのあまりの眩さが、野球への未練をも断ち切ってくれたのかもしれない……。高橋はいま後ろは振り返らず、目の前に広がる道しか見ていない。

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