自身のプレーや調子には意識を向けず、練習から妥協なくチームのために、と取り組み、山内主将の言葉や観察眼から学ぶ姿勢。古賀自身も同様に、そう遠くない将来、NECやさらにその先、日本代表でもリーダーとして先頭に立つ力は十分に備えているのではないか。そう話を向けると、笑いながら即座に首を横に振って大きく否定する。

「無理です、ムリムリ（笑）。好き勝手にやらせてもらっているし、やらせてくれる人がいるから、これだけ自由にできるんですよ」

　続く言葉には、少し驚かされた。

「去年まではリーグ中もずっと代表のことが頭から離れなくて、『世界相手にこのスパイクが決まるのか』『こんなレシーブで通用するのか』と考えていたんです。でも正直に言えば、今は全然。代表も含めて先のことは全く考えられないし、頭にない。とにかく今、このリーグで絶対に勝ちたいから、チームが勝つために、サーブレシーブもスパイクも、聞かれれば何でも伝えます。それで周りがよくなればもっとチームも強くなれると思うんです」

　引退を控えた選手が、「重ねた技術も経験も明かすこともいとわない」と言うのならわかる。だが古賀はチームの中心、ど真ん中にいながら、持ち得る知識や経験はすべて還元したいと語る。

　その先に、何を求めるのか。

「私、もっともっとバレーボールがうまくなりたいんです。人から聞かれれば自分も考えて、気づかされて、頭も整理できるじゃないですか。それで自分がさらに上手になって、強くなれればいいと思うし、やってきたことを教えつつ自分も研究して、その上を行けるようになりたい。後悔しないように、成長できるところまで成長し続けたいです」

　思い返せばリーグが始まる前、昨年の10月にも同じことを言っていた。先のことはわからない、考えられない、と。

「今はとにかく勝ちたい。心が熱くなるようなプレー、試合を見せたいんです」

　変わらずまっすぐ、貪欲に。勝利を求め、古賀は叫ぶ――。

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