欧州サッカーPRESSBACK NUMBER

「シンジは将来いい監督に」「ときどき『ムチ』を使ったが…」智将トゥヘルが岡崎慎司と香川真司、酒井宏樹を“本音で評価”

posted2022/02/26 11:01

 
「シンジは将来いい監督に」「ときどき『ムチ』を使ったが…」智将トゥヘルが岡崎慎司と香川真司、酒井宏樹を“本音で評価”<Number Web> photograph by Getty Images

ドルトムント時代の香川真司とトゥヘル監督

text by

アレクシス・メヌーゲ

アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge

PROFILE

photograph by

Getty Images

 トーマス・トゥヘルはドイツで「Bessermacher」(より良くする人)と呼ばれている。

 これまでマインツやドルトムントで、たくさんの選手を成長させてきたからだ。マインツ時代はアンドレ・シュールレやルイス・ホルトビー、ドルトムント時代にはウスマン・デンベレやクリスチャン・プリシッチがブレイクした。

 岡崎慎司もそのひとりである。シュツットガルト時代は主にサイドMFで起用されたため苦しんだが、トゥヘル率いるマインツへの移籍が転機になる。

 岡崎はセンターFWで起用されると、疲れを知らぬ裏への飛び出しで得点を量産。評価は急上昇し、のちのレスター移籍へつながった。

 また、香川真司はトゥヘルによって復調した選手だ。

 香川はマンチェスター・ユナイテッドからドルトムントへ復帰したものの、2連覇に貢献したときのような活躍をできていなかった。しかしトゥヘルが監督になって潮目が変わる。トゥヘル体制1年目に9得点を決めたのだ。

 現在チェルシーを率いるトゥヘルに、日本人選手やドイツ人監督について話を聞いた。<翻訳:木崎伸也全2回の後編/前編も

「岡崎に求めたのは、FWとして前に留まるだけでなく」

――あなたがマインツを率いていた2013年夏に岡崎慎司が加入しましたね。岡崎は急成長を遂げて13-14シーズンにブンデスリーガで15得点を決めました。のちに岡崎は「トゥヘル監督にめちゃくちゃ怒られたが、そのおかげで成長できた」と語っています。

「シンジは好奇心旺盛な選手で、常に成長を望んでいた。確かに私はときどき『ムチ』を使ったが、それは彼が大きなポテンシャルを持っていたからだ。スピード、技術、意志の強さという武器を持っていた。

 シンジがレスターでさらに成長し、プレミアリーグで優勝したときはすごく嬉しかった。彼のサッカーに取り組む姿勢を知っているので、イングランドで成功したことに少しの驚きもない」

――マインツ時代、岡崎にFWとしてどんな動きを求めましたか?

「FWとして前に留まるだけでなく、ボールを失ったときには後ろに走り、チームがボールを奪い返すのを助けるように求めた。シンジはすぐに理解し、このやり方を内在化してくれた。

 それによってすべてがそろったモダンな選手になり、だからこそプレミアリーグで活躍できたんだと思う」

どうやって香川の自信を回復したのか?

――岡崎はあなたの練習がバリエーションに富んでいて、すごくおもしろかったと語っています。あなたがラルフ・ラングニック(現マンチェスター・ユナイテッド暫定監督)のもとでプレーして名監督になったように、岡崎も名監督になると思いますか?

【次ページ】 香川のゴールで最も記憶に残っているのは……

1 2 3 NEXT
トーマス・トゥヘル
チェルシー
香川真司
岡崎慎司
酒井宏樹

海外サッカーの前後の記事

ページトップ