熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「アユムとホワイトの友情が…」「取材後、ホテル着が翌日の朝5時!」現地で唯一のブラジル人記者に“北京五輪への本音”を聞いた
posted2022/02/19 11:04
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Danielle Parhizkaran - USA TODAY Sports/JIJI PRESS
「ニコーリのレースには、本当に興奮した。ブラジルのウインター・スポーツにとって、歴史的快挙。素晴らしかった……」
ニコーリ・シルベイラは、2月12日に行なわれたスケルトン女子に出場した27歳。ブラジル南部で生まれたが、7歳のとき家族と共にカナダへ移住。現在もカルガリーに住む。職業は看護師。五輪初出場ながら13位に食い込み、本人も「夢のよう」と手放しで喜んだ。
冬季五輪におけるブラジル人選手の最高の成績は、2006年トリノ大会の女子スノーボードクロスでの9位。ニコーリの順位は、史上2番目だった。
熱帯、亜熱帯気候のブラジルには、スキー場が1つもない。本格的なスケート場もなかったが、2020年、サンパウロにフィギュアスケートとカーリングの練習施設ができた。
北京五輪には男子6人、女子4人、計10人を送ったが、その多くが欧米在住。ボブスレー選手は国内に住み、冬場に欧米へ渡って練習を積み、競技会に出て腕を磨く。
冒頭のコメントを伝えてくれたのは、グスタヴォ・ロンゴ記者、34歳。「毎日がオリンピック」という五輪専門のスポーツサイトから派遣され、現地取材をしている。
本職はIT、ファイナンスの分野のライターだが「誰もやらないから」という理由で10年前、ウインター・スポーツの取材を始めた。2018年の平昌五輪に続く2度目の冬季五輪取材で、唯一のブラジル人メディアとして奮闘している。
そんなロンゴ記者に、電話で大会の印象を幅広く聞いた。
全般的にうまく運営されている。唯一の問題点は…
――北京入りから現在まで、どのような新型コロナウイルス対策を義務付けられてきたのですか?
「ワクチンをフルに接種し、北京行きの飛行機に搭乗する96時間前と72時間前にPCR検査を受けた。
北京到着後、まず空港で検査を受け、以後も毎日、検査をしている。宿泊するメディアホテルの前に検査場があり、そこを通らないと取材に行けない。もし陽性なら、隔離されて取材できなくなる。厳格なバブル方式が採用されており、ホテル、取材場所、メディアセンター以外はどこにも行けない」
――選手、関係者では、累計400人以上の陽性者が出ています。ブラジル人選手も1人、陽性が確認されました。
「男子アルペンスキーの選手が、8日に北京空港に到着した際のPCR検査で陽性となった。陽性反応が出た選手は、24時間以上の間隔を置いた検査で2度、陰性にならないと隔離生活から脱出できない。
彼は大回転と回転の選手で、13日の大回転には出場できなかった。でもその後回復して、16日の回転に出場。88人中37位だった」
――メディア関係者からも陽性者は出ていますか?