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久保建英の“劇的決勝ゴール後に消えた疾走”は「客席に飛び込みたかったけど高すぎて無理」だった?《カメラマンが見た真相》

posted2022/02/18 11:02

 
久保建英の“劇的決勝ゴール後に消えた疾走”は「客席に飛び込みたかったけど高すぎて無理」だった?《カメラマンが見た真相》<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

記録はオウンゴールになったものの、久保の一撃でマジョルカが強豪アスレティック・ビルバオから勝ち点3を奪ったのは確かだ

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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Daisuke Nakashima

 スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。14日に行われたアスレティック・ビルバオ戦で、マジョルカを勝利に導く大活躍を見せた久保建英について、写真とともに現場の空気を臨場感たっぷりにお届けする。

タクシー運転手の冗談めかした「Take、ゴールするかもね!」

 2月14日、月曜日の夜に開催されたリーガ24節、対アスレティック・ビルバオ戦撮影のため、マジョルカのホームスタジアムを訪れました。1999年の建設以来何度かその名称を変更しており、現在はVisit Mallorca Stadiumという名称です。これは、観光産業が大きな割合を占めるマジョルカ島において、コロナの影響が与える打撃が大きかったためです。

 とはいえ、元来のSon Moix(ソン・モイシュ)が浸透しているようです。タクシーでマジョルカのスタジアムと告げると、「ソン・モイシュでビルバオ戦だろ?!」と車を進め始めました。

「さっきラジオで言ってたけど、最後にビルバオがここで勝利したのは、何年か前の今日(2月14日)だったんだってよ」
「兄ちゃん、日本人でTakeを見に来たんだろ?! ゴールするかもね」

 このように冗談めかして話すタクシー運転手の言葉がどのような結末になるかはこの時は想像もできませんでした。

 国王杯でバルサ、マドリーを倒して準決勝に進んでいるビルバオは、バスクのチーム特有の力強さに加え、円熟の域に入る10番ムニアインを中心として技術、戦術的にも秀でたチームで、残留争い真っただ中のマジョルカにとっては、かなり厳しい戦いになることを想像して撮影に向かいました。

 対するホームのマジョルカは、残留争いの直接のライバルだった前節のカディス戦での勝利の勢いのまま、同じメンバーでこの試合に臨みました。アップや、入場時の選手からは普段以上の何か特別なものは感じられず、入場ゲートで両チーム選手が健闘を誓いあいますが、それを見守るファンやマスコットなどからは、冷たい北風には負けない熱い勝利を期待する雰囲気が漂っていました。

久保が起点となり、ゲームを動かす

 激しい空中戦を含め、拮抗した様相で序盤はスタート、その中で久保は右サイドにポジションを取りました。この試合の最初のCKはマジョルカ、キッカーの久保はショートコーナを選びました。

 また、処理の難しいロングボールを胸であえて大きくトラップ。それによって相対するDFをかわしてボックス内に侵入する場面もありましたが、味方のマフェオにボールを奪われてしまうシーンも。プレーが途切れた際には、マフェオと言葉をかわします。

【次ページ】 相手キーマンをイラつかせるタスクも遂行

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