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久保建英の“劇的決勝ゴール後に消えた疾走”は「客席に飛び込みたかったけど高すぎて無理」だった?《カメラマンが見た真相》
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/02/18 11:02
記録はオウンゴールになったものの、久保の一撃でマジョルカが強豪アスレティック・ビルバオから勝ち点3を奪ったのは確かだ
時間を経ていくと、徐々に久保の元にボールが集まり、ボールを保持して起点になるような動きが見られました。それを察知してか、ビルバオのマルセリーノ監督が久保と相対するサイドバックのバレンシアガに指示を出す姿が見られました。
そしてマジョルカがビルバオのゴール前への圧力を強めた中で、ボックス内のこぼれ球に詰めたマフェオが倒されPKを獲得。前節に続きサルバ・セビージャが落ち着いてゴールし先制点を奪いました。PKの前には、久保がキッカーのセビージャに声をかける姿、倒れたマフェオの元に一番に駆け寄る姿を撮影できました。
相手キーマンをイラつかせるタスクも遂行
久保は守備時には相手サイドバックにプレッシャーをかけながら、相手キーマンのムニアインへのコースも切るようなポジションを取るなど、重要なタスクをこなしていました。これは、試合を通して遂行され、相手のパスをインターセプトする回数も多く、試合前にはにこやかに挨拶を見せていたムニアインが、久保に対していらつきを見せるような姿を何度も撮影できました。
22分の先制点から続けざま、30分にはアンヘル・ロドリゲスが追加点をあげ、勝利を近づけます。喜びに駆け寄る久保の喜びの表情も撮影できました。
なおこのゴールシーンでは、高く上がったボールの落下地点にいたアンヘルではなく、あえて離れていたムリキが落下地点に走り寄りボールを競り合い、そのこぼれ球にアンヘルが反応しました。冬に加入した大型FWは、前節に続きこの試合でも存在感を発揮しており、ムリキがボールを競り、そこをアンヘルや久保、ダニ・ロドリゲスが狙うというような統一された意図が見られました。
またムリキは大きい選手にありがちな、守備時に走れないということもなく、しっかりプレスをかけることができているため、中盤での守備争いにも良い影響を与えているように見えました。
拮抗した展開の中立て続けに失点し、試合は振り出しに
後半開始と同時にビルバオのマルセリーノ監督は、一気に2枚替え。開始早々、久保に相対する左サイドバックに入ったユーリ・ベルチチェが、ボールのない場所で久保を引っ張るような場面もありました。久保への警戒が伝えられていたのではないでしょうか。久保は、ファウルを取らなかった審判団へしっかりアピールしていました。
相手のメンバー変更による影響はなく、久保はしっかりプレスをかけ続け、またボール奪取時は自ら切り込み、シュートを積極的に打つ姿を見せます。このシーンではかなり悔しそうな表情を見せました。