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平野歩夢の金に“熱い涙”で話題…あのスノボー解説者が振り返る「採点に謎が多かった」「天才であるのは間違いない。でも比例して努力がある」
posted2022/02/13 17:04
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
JIJI PRESS
「ああ、よかった……」
滑り終わって3本目の点数が出た瞬間、湧き上がってきたのはそうした安堵の思いでした。もう最後は歩夢と一緒に滑っているような気持ちで、そんなつもりはなかったのに涙が出てきてしまいました。
2本目の点数を見た瞬間「正直またこれかと」
2本目の点数が出た時は、えっ? と思いました。歩夢は最高に難しいルーティンを決めたのにスコッティ・ジェームズ(オーストラリア)に次ぐ2位の得点。正直またこれかと。今までにも見たことがあるなという嫌な空気感でした。
海外勢と同じレベルの滑りをしてもどうしても得点が伸びないなと感じることは、誰もが経験してきたと思います。僕も周りの選手から『優勝だろうな』と言われているのに、表彰式にも上がれなかったことが何度もありました。歩夢なんて僕の何十倍もそういう経験をしてきたんじゃないでしょうか。
スコッティがやっていた『スイッチバックサイド』は、レギュラーとスイッチの2つのスタンス、フロントサイドとバックサイドの2つの回転方向、つまり4方向あるスピンの中では一番難しい。それで1260まで回しているのは、彼以外にいないんじゃないか? というぐらい難しい技です。
ただ、リスクも含めて考えれば歩夢のトリプルコークの方が明らかに上。頭を下にする縦回転が3回入るので逆さまに落ちるリスクがありますが、スコッティは水平回転に近いのでそこまでのリスクはない。スイッチバックサイドから次の1440への繋ぎは確かに難しいけど、それでも点数が出すぎていると感じました。
採点の基準に「ムラがあるというか謎が多かった」
歩夢の3本目は、細かく見れば2本目以上に高さや繋ぎなどすべてが良くなっていました。2本目以上に点数が出るとは思いましたが、それがスコッティを上回れるのかは、僕にも最後まで確信がありませんでした。