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「彼には天から与えられた才能と情熱がある」ショーン・ホワイトが語っていた“あなたにとって平野歩夢とはどんな存在ですか?” 

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徳原海

徳原海Kai Tokuhara

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2022/02/09 11:01

「彼には天から与えられた才能と情熱がある」ショーン・ホワイトが語っていた“あなたにとって平野歩夢とはどんな存在ですか?”<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

4年前の平昌五輪。歴史に残る名勝負を繰り広げたショーン・ホワイトと平野歩夢

「アユムを初めて知ったのは、彼が13歳か14歳の頃だったと思う。たしかUSオープンだったね。当時からとても才能があって、僕が昔そうだったように若くして多くのメディアから注目されていた。ある記者が彼にこうインタビューしていたのをはっきり覚えているよ。『君はショーン・ホワイトを打ち負かすのが目標か?』と。実は僕も13歳の頃に同じような質問をされたんだ。『トニー・ホーク(スケートボード界のトップスター)になりたいか?』ってね(笑)。

 そこで、こう思った。誰もが目標にするトニー・ホークのような存在になるには、彼を目指すのではなく自分が“ショーン・ホワイト”であり続けることが必要だと。きっとアユムもそうだったと思う」

「アユムなら“アユム・ヒラノ”を貫くはず」

 本当のトップライダーになるということは自分だけの“スタイル”を確立させること。そう感じた若かりし頃の自分をどこか平野に重ね合わせる。歩んできた道を振り返るかのように、こう続けた。

「この先アユムがもっと大きな存在になるにつれ、彼にはより多くのプレッシャーがかかってくる。常に勝つこと、ベストを出すことが求められるから。それが力になることもあれば、障壁になることもあると思う。でも彼には天から与えられた才能と情熱がある。アユムなら“アユム・ヒラノ”を貫くはず。

 あれだけ大きな怪我をしたのに同じ道に戻ってきて、さらにハードなトリックをやり続けているのだから。そんな彼の姿を見るのが誇らしいし、良いインスピレーションを受けてもいる。実際に平昌では2人とも怪我を乗り越えすばらしい技を成功させたでしょう? あれはすごい戦いだった」

ショーンが語っていた「どこまで滑り続けるのか?」

 長く彼の滑りを見てきて、それでもふと疑問に思うこともある。一体いつまでやるんだろうと。若いライダーは次々出てくる。勝利に求められる技の難易度も上がるいっぽうだ。年齢を考えても、彼が競技から退き、フリーライディングに移行したとしても誰も文句は言わない。それでもショーンはあらゆるリスクを負って競技に出続ける。その根底にあるものは何かと尋ねると、いたってシンプルな答えが返ってきた。

【次ページ】 五輪の制覇は「ボーナスのようなもの」

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