決意を新たに滑った1500mも、納得できるレースにはならなかった。

「自分の持ってる力は出し切ったのかなっていう感じはありました。でも、自己ベストにも届かないレースだったから、やっぱ悔しい」

　長野五輪の男子500mで金メダルに輝いた清水宏保は、連覇を狙ったソルトレイクシティで銀に終わった時、「五輪の借りは五輪でしか返せない」とトリノでのリベンジを誓った。高木も1500mのレースを終えて、今回の悔しさを晴らす場が次の五輪にしかないと、気づいた。

「レースを振り返ると、まだまだ力が足りないんだなって感じました。だから、悔しいじゃないですか。もっと力をつけて、ソチではやってやろうって思いましたね」

　4年後のソチ五輪に向けて高木は、バンクーバーでの経験をどう活かすのだろう。

「自分のリズムは崩したくないですね。これから高校生になっても、スケートのために全てを捨てるってことはしたくない。4年ありますからね。ソチまでの最初の1、2年は、一回スケートに対する気持ちを切るかも知れません。自分はあんまり長期計画型じゃないんです。もたないんですよね、集中が。テスト勉強も一夜漬けでやったりするし（笑）。まあ、高校生活を思いっきり楽しんで、それからもう一度、スケートと真剣に向き合えたらなってことです」

「ソチではもっとやってやる」

　そう誓った彼女が、バンクーバーの悔しさを忘れるはずはない。高校生活は、自分のリズムで思いっきり楽しめばいい。4年後のソチ五輪でも、高木はまだ19歳だ。

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