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W杯出場に王手も中村憲剛は「まだ何も決まっていません」…“オーストラリアに引き分けOK”の空気に「待った」をかけるワケ 

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2022/02/04 17:05

W杯出場に王手も中村憲剛は「まだ何も決まっていません」…“オーストラリアに引き分けOK”の空気に「待った」をかけるワケ<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

サウジアラビアに快勝した日本は、3月24日のオーストラリア戦に勝てばカタールW杯出場が決定する。しかし中村憲剛氏は「間違いなく難しい試合になる」と語った

大迫交代後の保持率の低下をどう考えるか

 森保一監督は68分に大迫勇也と長友を下げ、前田大然と中山雄太を入れました。前田が相手を牽制しつつ、カウンターという狙いだったのでしょう。78分には南野から浅野拓磨へスイッチします。攻撃は伊東、前田、浅野のスピードを生かす形になりました。

 欲を言えば、そこに課題があったのかもしれません。

 4-3-3のシステムでは大迫が孤立し、より負担がかかっているのではないかと言われてきましたが、ここ数試合はワントップのポジションから自由に下りてきたり左右に流れたりして、相手のCBを困らせる役割を果たしていました。トップ下の位置なら中盤3枚とも近くなるので、ボールが循環しやすくなります。それも試合を追うごとに回数が増えていました。「最前線で身体を張って頑張り続ける」だけではなく、相手陣内へ入ったときは自由に動いて、高い位置でタメも作ってくれていました。そこのポジショニングと動きのさじ加減はとても難しく、経験も必要なので、日本の攻撃における大迫の果たす役割は大きいと感じています。

 それに対して前田は、スピードが武器の選手であり、そこまでタメを作るタイプではありません。2対0なのでしっかりとブロックを作りながら、彼のスピードを生かしたカウンターという意図があったでしょう。それで勝ち切っているので、何ら問題ないと思います。

 そのうえで言えば、前田のようなタイプの選手が前線にいると、シンプルにスピードを生かそうとボールを裏に配給することで失いやすくなり、相手陣内でボールを保持する時間が短くなります。自分たちが持つ時間が短いということは、相手がボールを持つ時間が長くなるわけで、相手の背後を突く攻撃に意識を傾けたことで、自分たちが握っていた流れをサウジに渡してしまうきっかけになったのかもしれません。

 これは選手のタイプの違いによるものなのですが、今後に向けて少し気になりました。そのなかで前田は、80分に守田からのダイレクトのくさびをオーバーラップする酒井にダイレクトではたき、酒井のクロスが浅野の決定機を生むなど、連動できるシーンもありました。スピードを生かす攻撃と上手く織り交ぜながら、プレーしてほしいと思います。

 2対0というスコアは完勝と言っていい結果です。ここまで毎試合が「決戦」でしたが、このサウジ戦は森保ジャパンにとって色々な意味で大一番だったと思います。

【次ページ】 「引き分けでもOK」では飲み込まれかねない

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