奇しくも、フェニックス・サンズ時代のチームメートで、同じポイントガード（PG）として影響を受けたNBAのレジェンド、スティーブ・ナッシュが引退した年齢でもある。

レイカーズ時代のスティーブ・ナッシュ。2015年に現役引退 ©Getty Images

「いやぁ、今も現役でやっているんで」

　穏やかに口を開く。感傷に浸ることはない。ただ、ナッシュという稀代のPGの背中を、今も追おうとしている自分を認めている。

「最後のレイカーズでのプレーというのは、自分が一緒にやらせてもらっていたサンズ時代とスタイルが変わった部分もあって、ベテランの味を出していたと思います。あの年齢でのプレーの仕方っていうのは、僕自身、お手本にしたいところではあります」

田臥勇太41歳が追求するモノ

　当時のサンズは「ラン＆ガン」と銘打たれた速攻劇で時代を築き、司令塔がナッシュだった。年齢とともにスピードが失われたレイカーズ時代にはゲームのバランサーとして仲間を活かし、最後は故障に苦しみながらも、ひとたびコートに立てば異彩を放った。

　今の田臥もそうだ。

　高校時代からの代名詞であるノールックパスは今も健在だが、そういった個人技の成功確率を高めるべく、ボールの出しどころ、オフェンスとディフェンスにおけるポジショニングなども追求しているという。もっと言えば、足を置く場所やプレーへ移行する直前の予備動作にも焦点を当てるようになった。

　言うなれば、それはデザインだ。

　攻守の切り替えが激しいバスケットボールというスポーツを多角的に見る。縦28メートル、横15メートルのコートを時に平面に、時に立体的に描き、過不足なく活用しよう――そんな意欲を打ち出しているようだ。

「若い時は自分が体を動かして解決できたプレーがたくさんあったんですけど、歳を重ねると『どこかで補わないといけない』って、アプローチも変わってきて。そこがまた違うチャレンジでやりがいがあるなって、うん」　

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