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15歳にしてレアルやバルサ、マンCが熱視線の“宝石FW”とは何者か? ブラジルのU-21全国大会で「15歳が計18人出場」の衝撃
posted2022/01/30 17:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AP/AFLO
今、欧州ビッグクラブから熱い視線を集めるブラジル人CFがいる。エンドリッキ・フェリペ・モレイラ・デ・ソウザ、通称エンドリッキ。2006年7月21日生まれで、まだ15歳6カ月だ。
身長173cmと小柄だが、全身がバネのように弾む。柔らかいボールタッチと敏捷さでマーカーを2人、3人とかわし、左足から強烈なシュートを叩き込む。超ロングシュート、バイシクルキック、ループシュートといったトリッキーなプレーも得意で、ブラジル人らしい創造性とファンタジーに溢れている。
エリアの外側からバイシクルシュートを叩き込む
エンドリッキの名を一気に高めたのが、1月2日から25日まで行なわれた育成年代の全国大会「コパ・サンパウロ」である。例年、出場資格は20歳以下だが、昨年、新型コロナウイルス感染拡大を理由に中止されたことから、今年は例外的に21歳以下となった。彼とは、最大で実に6歳もの年齢差がある。日本で言えば、中学3年生が高校選手権を飛び越えて大学3年生の大会に出場したに等しい。
大会が始まった時点では、レギュラーですらなかった。グループステージの最初の試合で先発して2得点をあげたが、前半だけで交代。第2戦では、後半だけプレーしてやはり2得点。つまり、最初の2試合で90分間ピッチに立ち、4得点を記録したのである。
その後、新型コロナウイルスに感染して2試合を欠場。続く2試合は、いずれも後半途中からの出場で無得点だった。
ところが、準々決勝でとてつもないゴールを決める。右からのクロスが跳ね返され、味方の再度のクロスがまたクリアされると、ペナルティエリアの外側からバイシクルキックによるシュート。バイシクルキックによるシュートは、数m程度の距離から試みるのが常識だ。20m近い距離からとなると、“超ロングシュート”と呼んでいい。
無謀な試みと思われたが、ボールはゴール左上隅に飛び込んだ。スタンドは騒然となり、相手選手は皆、呆然と立ち尽くした。
出場時間294分で6得点、大会MVP
準決勝では後半途中からの出場で無得点だったが、決勝の前半5分、左からのクロスを左足でダイレクトで蹴り込んで先制点。チームは4-0で圧勝し、初優勝を果たした。
エンドリッキは、チーム最多の6得点をあげて大会MVP。さらに、準々決勝でのゴラッソが大会ベストゴールに選ばれた。
驚くべきは得点率だ。チームが戦った9試合のうち、先発が3試合(ただし、いずれもフル出場はしていない)、途中出場が4試合で、2試合は欠場。出場時間は294分に過ぎないが、1試合(90分)当たりの得点率は1.8点。15歳という若さ、美しいゴール、そして驚異的な得点率で、話題を独占した。
彼の活躍は欧州各国のメディアでも大きく報じられ、レアル・マドリー、バルセロナ、リバプール、マンチェスター・シティといった錚々たるクラブがこぞって獲得を狙っていると報道されている。