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15歳にしてレアルやバルサ、マンCが熱視線の“宝石FW”とは何者か? ブラジルのU-21全国大会で「15歳が計18人出場」の衝撃 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2022/01/30 17:01

15歳にしてレアルやバルサ、マンCが熱視線の“宝石FW”とは何者か? ブラジルのU-21全国大会で「15歳が計18人出場」の衝撃<Number Web> photograph by AP/AFLO

15歳にしてメガクラブの注目を集めるエンドリッキ。彼以外にもブラジルでは“抜擢の低年齢化”が進んでいるようだ

常に年齢より上のカテゴリーに在籍

 首都ブラジリアの貧しい家庭で生まれた。4歳でボールを蹴り始め、地元の10歳以下の大会で多くのゴールを決めた。父親がその動画をSNSで配信したところ、いくつかのクラブが関心を示す。パルメイラスから「父親に仕事を斡旋し、住む家も用意するから、一家でサンパウロへ来ないか」という条件を知らされると、両親と息子は大喜びで抱き合った。

 パルメイラスのアカデミーでは、常に年齢より上のカテゴリーに在籍。2019年、12~13歳のときにU-13とU-15を掛け持ちし、14~15歳の昨年はU-15、U-17、U-20と実に3つのカテゴリーでプレーした。

パルメイラスの公式サイトでもエンドリックっはインタビューを受けている ※クラブ公式ホームページのスクリーンショットパルメイラスの公式サイトでもエンドリッキはインタビューを受けている ※クラブ公式ホームページのスクリーンショット

 伝統的に、ブラジルのクラブは優秀な選手を“飛び級”させて鍛える。

 ブラジル代表FWネイマール(パリ・サンジェルマン)は、12歳で名門サントスのアカデミーの門を叩き、2009年、17歳になったばかりでU-20とU-23を飛ばしてトップチームへ昇格。たちまちレギュラーとなった。

 キング・ペレは、1956年、15歳でサントスとプロ契約。アカデミーはすべて飛ばし、トップチームの練習試合に出場して経験を積むと、1957年4月、16歳6カ月で公式戦に初出場した。ちなみに、ブラジルでの最年少出場記録は、ペレと同時代にサントスで活躍したFWコウチーニョの15歳10カ月とされている。

 このような“飛び級”は、日本の学校の部活動では絶対に不可能だ。しかし、プロクラブのアカデミーであれば問題はない。そして、ブラジルのクラブは傑出した選手を上のカテゴリーで出場させることを躊躇しない。

 ブラジルで選手育成に定評があるサントスのアカデミー関係者は、「同年代で飛び抜けた能力を発揮する選手がいたら、もっと上のカテゴリーで鍛えた方が成長が速い。むしろ、そうしないと本人が油断して成長のスピードが落ちることが多い」と説明する。そして「各カテゴリーでプレーする選手の年齢には上限があるが、下限はないからね」と付け足した。

クラブワールドカップの出場は叶わず

 現在、ブラジルでは国内の公式戦でプレーできるのは16歳以上という規則がある。しかし、FIFAの公式大会では年齢制限がない。

 南米クラブ王者であるパルメイラスは、2月にUAEで開催されるクラブワールドカップに出場する。サポーターからは、「エンドリッキを出場登録メンバーに加えろ」という声がクラブに殺到した。しかし、アベル・フェレイラ監督は、「彼の能力の高さは、十分にわかっている。しかし、適切な時期にチャンスを与えたい」と語った。

 こうして、エンドリッキがコウチーニョの最年少出場記録を更新する可能性は消えた。それでも、7月21日に16歳となってから6カ月以内にデビューすれば、ペレの記録を追い抜くことになる。

【次ページ】 若手の市場価値が世界的に高騰しているゆえ……

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