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15歳にしてレアルやバルサ、マンCが熱視線の“宝石FW”とは何者か? ブラジルのU-21全国大会で「15歳が計18人出場」の衝撃
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAP/AFLO
posted2022/01/30 17:01
15歳にしてメガクラブの注目を集めるエンドリッキ。彼以外にもブラジルでは“抜擢の低年齢化”が進んでいるようだ
若手の市場価値が世界的に高騰しているゆえ……
実は、今年のコパ・サンパウロに出場した15歳の選手は、エンドリッキだけではない。彼を含めて18人もいた。
ブラジルの選手育成の凄まじさを物語るが、その半面、「近年、若手選手の市場価値が世界的に高騰している。そのことを考慮してブラジルでも若い選手を優先的にデビューさせる傾向があり、同じことが育成年代でも起きている」(知人のブラジル人記者)という声もある。
過去、ブラジルでは若くしてデビューして将来を大いに嘱望されながら、素行の問題などから大成しなかった選手が少なくない。
エンドリッキの場合、選手としての潜在能力の高さについては疑問の余地がない。性格が明るく、自分よりずっと年上の選手に対しても全く物おじしない図太さがある。
「陽気で目立ちたがり屋」という性格はネイマールを彷彿
しかし、少しばかり心配な点もある。
コパ・サンパウロ決勝で、チームが序盤のうちに3点をリードして楽勝ムードになると、敵陣の深い位置でヒールリフト(両足の間にボールを挟んで背中側からボールを跳ね上げ、マーカーを抜き去ろうとするプレー)を試み、苛立った相手選手に小突かれた。他の試合でもこれ見よがしのトリッキーなプレーをして、その仕返しに厳しいファウルを受けていた。
「陽気で目立ちたがり屋」という性格は、ピッチ内外で物議を醸すことが多いネイマールと似ている。今後の人間的な成長が、選手としての成長とリンクするのではないか。
今後、対戦相手から徹底的にマークされて苦しんだり、スランプに陥ったり、故障に見舞われることもあるだろう。これらの困難をすべて乗り越え、世界のトップクラスの選手の仲間入りを果たせるかどうか。
ともあれ、フットボール王国ブラジルにまた1人、将来が楽しみなジョイア(宝石)が現われた。この原石が、これからどのように磨かれていくのか。それをじっくりと見守りたい。
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