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「できない奴は生き残れない」武藤敬司が語る、アントニオ猪木をイラつかせ、殺気立たせた“オールドスクールのプロレス”とは 

text by

高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

PROFILE

photograph byYuki Morishima(D-CORD)

posted2022/01/28 11:00

「できない奴は生き残れない」武藤敬司が語る、アントニオ猪木をイラつかせ、殺気立たせた“オールドスクールのプロレス”とは<Number Web> photograph by Yuki Morishima(D-CORD)

1990年代から2000年代にかけてトップレスラーとして新日を牽引した武藤。現在もノアで現役を続けている

デスクワークさせられたら「死んじゃうよ」。

 年々厳しくなるフィジカル面と反比例するように、武藤も多くの経験を糧に進化を続けてきた。そして最近また新たな“スタイル”を提示して、お茶の間に衝撃を与えた。5月に放送されたバラエティー番組で公開されたのは、長女でタレントの武藤愛莉が撮影した父親の姿。自宅のソファーから一歩も動かず、爪を切るのも娘まかせという驚きのグータラ映像だった。

「テレビ局から『放送しても大丈夫ですか?』って電話があったけどさ、俺の肉体を見れば、単なるグータラじゃないってことは分かるじゃん? 今日も2時間以上練習して、風呂入ったり、なんだかんだ合計4時間はジムにいた。俺はこのルーティンを崩したくねえんだよ。第一、プロレス辞めたら何して生計立てていけばいいんだよ」

 ありのまますぎる……。常人ならば隠し、恥じるようなポイントも胸を張って語るところが武藤流。生涯現役にこだわるのは、単純な「プロレスLOVE」ゆえではない。本人が言う生活のため? いや武藤の場合は生命のためのようにすら見える。ミもフタもない話のようだが、本人はいたって真面目にこう言うのである。

「居心地のいい、この生活にすがっていくには現役であることが大事。引退しちゃったら、オレの性格からしてジムに通うのも面倒臭くなるからさ。普通の勤め人みたく、朝から満員電車で出勤してデスクワークさせられたとしたら……。俺、すぐに死んじゃうよ(笑)」

 オールドスクール世代最後の生き残りとして世界中からオファーが相次ぐが、その飄々とした姿勢は若き日から一貫して変わらない。

 正直かつ勤勉なのか? それとも変化を嫌うナマケモノなだけか? 判断はつかない。そうやってまた我々も武藤のペースに引き込まれていくのだ。

武藤敬司Keiji Muto

1962年12月23日、山梨県生まれ。21歳で新日本に入門。'84年10月5日の蝶野正洋戦でデビュー。同日入門の蝶野、橋本真也とともに闘魂三銃士と呼ばれる。'02年全日本に電撃移籍して社長に就任。'13年には全日本を退団してWRESTLE-1を設立した。188cm、110kg。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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