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実は“冬ではなく夏の人気競技”だった…五輪とフィギュアスケートの「意外と知らない歴史」とは?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2022/02/03 06:00
今では冬季五輪屈指の人気競技になっているフィギュアスケート。実は、当初は「夏季五輪競技」として採用された歴史がある
冬季オリンピックはまだ行なわれていなかったものの、1901年にスウェーデン・ストックホルムで「ノルディック・ゲームズ」という国際大会が行なわれた。一部、夏のオリンピックで実施されている競技もあったがウインタースポーツを中心とする大会だ。その後、1926年までオリンピックと同じように、4年ごとに開催された。
ノルディック・ゲームズにあって、フィギュアスケートは注目度が高かったという。それを受けて、夏のオリンピックで実施されることになったと言われる。また、ウインタースポーツの中でも室内競技であり、雪上競技のような開催における困難さがそこまでなかったことも幸いした。
その歴史を知ってか知らずか、「フィギュアスケートは夏にやってもいいんじゃないか」という声を耳にしたことが何度かある。たしかに今日でも夏場に行なわれる大会は実際にある。ただ、そのためには年間スケジュールを大幅に改変しなくてはならなくなる。グランプリシリーズなど国際大会はもとより、国内大会もそうだ。シーズンに備えての振り付けなどの時期も含め、すべてを組み替えなければならないことを考えれば、実現する可能性は限りなく低いだろう。
今はもうない「スペシャル・フィギュア」部門とは?
1908年のロンドン五輪で行なわれたのは、男女のシングル、ペア、「スペシャル・フィギュア」の4種目。スペシャル・フィギュアは今はもうないが、片足でバランスを崩さず、どれだけ正確に氷上に図形(=フィギュア)を描けるかで競った。現在行なわれているアイスダンスは、1976年のインスブルック五輪から採用されている。
ロンドン五輪でのフィギュアスケートの開催期間は10月28日と29日の2日間。ロンドン市内の屋内スケートリンクで行なわれ、6カ国、計21名が参加した。ロンドン五輪自体は4月27日から10月31日まで実施されたから、閉幕間際での開催ということになる。