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「プロレスファンは自制心が強いな…」感染急拡大の今こそ知りたい、聖地・後楽園ホールでカメラマンが見つめた“コロナ禍との戦い方”
posted2022/01/23 17:00
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
プロレスは色々なことを教えてくれる。
オミクロン株の高い感染力により、政府は16都県にまん延防止等重点措置を適用。さらに25日より北海道、大阪、福岡など8道府県にも適用する方向で調整が進んでいる。
秋から冬にかけて、イベントや飲食店にかつての風景が戻りつつあったが、再びネガティブな空気が漂っている。
プロレス界でも、全日本プロレスが1月9日の岡崎大会を中止し、NOAHでは1月16日の仙台大会を10名の選手が欠場(うち1人は陰性)するなど、感染拡大の影響が出てきている。
しかし、だからといってあっさりと2020年の夏まで戻るつもりはないだろう。飲食店がそうであるように、これまでの2年間、各団体は苦しい中で努力と工夫を積み重ね、ここにきてようやく元の風景を取り戻そうかという段階に入ろうとしていたところだった。
感染対策と持続可能性を両立させようと苦慮してきたのは、団体だけではない。ファンや会場の協力が多分にあったからこそ、ようやくその段階に入ろうとするところまで辿り着けたのだ。
年末年始の後楽園ホールを包んだ高揚感
年末年始の後楽園ホールには、高揚感があった。
12月25日のクリスマスは、昼に女子プロレスのスターダムが超満員札止めとなる725人の観客を集めると、夜のFREEDOMSも超満員札止め。719人の観客が、真っ赤に染まった葛西純の背中に見惚れた。
大晦日の昼もアイスリボンが720人で超満員となり、夜には恒例の年越しプロレス(※2年連続で年を越さない形で開催)が行われた。さらに2022年が始まるといきなり元日の昼にZERO1、そして全日本プロレスが2日・3日と連続(どちらも昼)、加えて大日本プロレス(2日夜)とDDT(3日夜)も大会を開催し、三が日の後楽園ホールはまさにプロレス三昧となった。
後楽園ホールの収容人数は2005人。リングを組むと約1600~1800人で満員となる。それが、現在は約700人で超満員。座席は前後左右が空席となる市松模様で使用され、まだフルキャパシティでは使われていない。また、バルコニーや南側最後方の立ち見席も解禁されていない。
昨年11月末にイベント開催の規制が緩和され、サッカーでは天皇杯が準決勝と決勝でスタジアムをフルキャパシティで使用したことは記憶に新しい。しかし、屋内ということもあり、プロレス界は慎重な姿勢を保っている。これまでの努力を無にすることは絶対にあってはならないからだ。