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「うわー、俺、宇佐美としゃべってる」謙虚すぎるプラチナ世代・宮吉拓実 岡田武史も驚いた16歳デビューから14年目の本音
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKYOTO.P.S.
posted2022/01/14 11:02
京都サンガF.C.のJ1昇格に貢献した宮吉拓実。岡田武史も驚かせた才能が、新生サンガの起爆剤になるかもしれない
弱気と謙虚、消極的と献身的は紙一重だ。
2021年シーズン、曺貴裁監督の下でプレーした宮吉は、常に謙虚に、献身的な姿勢を保ち続けながら、本来持っている技術と嗅覚をゴールという形に結び付けた。ピンチと見るや自陣深くまで懸命に走り、ボールを奪えば相手ゴール前に顔を出す。
その姿が、とても楽しそうに見えた。
「それまでも、常に100%で練習に臨んでいたつもりではあったんです。でも、2021年は曺さんやコーチングスタッフに、さらに上を引き出してもらったというか。練習で競争に勝った選手だけが、週末のゲームに出られる。だから自然と練習の強度も高まる。守備に関しても、今までも常に『チームのために』と頑張ってきたつもりです。
昨年の場合は、守備で頑張った分が、その後の攻撃につながる感覚もありましたし、チームとして積極的にプレスをかけて、そこからショートカウンターという狙いもありました。やりたいこととやっていることがすごくリンクしている手応えがあったので、楽しみながらできたのかなと思いますね」
J1昇格を視界に捉えた2021年11月14日のJ2第39節ブラウブリッツ秋田戦の直前、曺貴裁監督に呼び出され、こう伝えられた。
「ミヤは今までチームのために戦ってきたと思う。それもいいんだけど、ここから先は、お前の力でこのクラブをJ1に上げるって気持ちで戦え」
この試合の前半44分、宮吉は武田将平の折り返しを冷静にゴールへ蹴り込み、チームを勝利に導いた。これでゴール数を2012年(11得点)以来となる2桁に乗せた。プロ人生で初めて嬉し涙を流したのは、この2週間後のことである。