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上原浩治の「あっぱれ!」な3つの日米実績… 日本野球史上最強のコントロールと称えたいワケ《張本勲の「喝!」を継承》 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph bySports Graphic Number/Getty Images

posted2022/01/16 06:00

上原浩治の「あっぱれ!」な3つの日米実績… 日本野球史上最強のコントロールと称えたいワケ《張本勲の「喝!」を継承》<Number Web> photograph by Sports Graphic Number/Getty Images

巨人、侍ジャパン、レッドソックス。上原浩治が残した実績とコントロールはまさに「あっぱれ!」

 アメリカの記録サイト「Baseball Reference」によれば、MLBで1000イニング以上の投手でのK/BB歴代1位は現役のクリス・セールの5.33(2059振/386球1672.1回)、セールはキャリアは重なっていないが上原と同じレッドソックスの左腕。上原はセールの記録を1.3ポイントも上回っている。

3)メジャー時代、39歳で残した圧倒的な「K/BB」

 ちなみにMLB時代の上原のK/BBもすごい数字だった。

 レッドソックスが世界一になった2013年、上原はア・リーグで50試合以上投げた66人の投手の中でK/BBは1位、数値は何と11.22(101振/9球)、2位のツインズのフィーンが6.08(73振/12球)だったからダントツだった。翌2014年も10.00(80振/8球)、この年はアスレチックスのドゥリートルが11.13(89振/8球)を記録したために2位だったが、この年の上原は39歳。驚異的な投球精度だったのだ。

 上原の数字から見えてくるのは投手における「制球力」の大事さだ。どんな剛速球の持ち主でも、えげつない変化をする変化球の使い手でも、球審に「ストライク!」と手を挙げさせることができなければ、好投はできない。

 張本勲の3085安打とはかなり異質だが、上原浩治も圧倒的な「数字」を持っている野球人であることがご理解いただけるのではないか。

ランキングをよく見てみると、現代の投手もランクイン

 もう一度NPBの歴代K/BBのランキングを見ていただきたい。

 上位には上原だけでなく、前田健太、成瀬善久、川上憲伸、杉内俊哉、岸孝之と21世紀になってから活躍した投手の名前が、土橋正幸、杉浦忠、稲尾和久、村山実という「昭和の大投手」に伍して並んでいる。

「御意見番」の前任者は、同世代の大御所野球人とともに「今の投手は甘やかされている。昭和の投手の方がすごかった」とさんざん言ったものだが、K/BBの数字を見る限り、今の時代の投手たちも昭和の大投手に負けてはいないのだ。

 このランキングのトップにいる上原浩治は「今の野球選手もすごい」と胸を張って言える野球人でもあるのだ。もちろん、偉大な先人へのリスペクトは大事だが、進化し続ける現代のNPB、MLBのすごさも上原には語ることができる。

 日曜朝に、上原浩治がどんな「喝!」「あっぱれ!」を発していくのか、楽しみに見守りたい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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