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“最近よく見る”野球のアイブラックって? 新たな人気応援グッズになる可能性も…「売り上げはこの2 、3年で飛躍的に伸びました」
posted2022/01/16 11:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
KYODO
最近、ずいぶん見かけませんか?
プロ野球選手が目の下につける黒いラインのことだ。その名はアイブラック。太陽光のまぶしさを抑えることを目的としたそれは、1940年代にアメリカンフットボールに登場し、野球やソフトボールに広まった。
アイブラックはかつて、デーゲームに外国人選手がつけるものというイメージだった。だが近年、ドームの照明がまぶしくなったこともあり、数多くの日本人選手もつけるようになった。昨年のオールスター第2戦では、MVPに輝いた島内宏明のほっぺに松田宣浩が〇や×を描き、球場が笑いに包まれた。
アイブラック発祥国アメリカにはメーカーが複数あるが、最大手はその名もアイブラック社。“アイブラック”は同社の商標である。
日本で販売されている同社の商品は、黒いシールのクラシックタイプ。4ペア(8個)入りで1パック660円(税込み)。医療用テープと接着剤が採用された、お肌にもやさしい商品だ。
本場アメリカでは「どれもオシャレなんです」
この商品を取り扱う「ムトーエンタープライズ」の取締役、清遠興一さんが言う。
「アマチュア球界に広がっていないので、これからといったところですが、NPBの複数球団に購入していただいており、売り上げはこの2 、3年で飛躍的に伸びました」
ムトーが扱うのは前述した黒だけだが、アイブラック社は驚くほど多くの商品を出している。というのもアメリカでアイブラックをつけるのは、選手だけではない。人気のアメフトを通じて、スポーツファンや一般市民にアイブラック文化が根づいているからだ。
「アメフトや野球では、チームのロゴやマスコットがあしらわれたアイブラックがたくさん出ています。アメリカのスポーツ界では毎年大々的に乳がん検診啓発のピンクリボン・キャンペーンを行ないますが、ピンクのものも数多く出ていて、どれもオシャレなんです」
オシャレで安価で手軽。しかもバラエティ豊かなアイブラックは、ファンの一体感を生み出すには最良のアイテム。インスタ映えもするので若者にもウケるだろう。球団関係者の皆さん、いかがでしょうか。
さて、草野球歴30年を誇る筆者はさっそく、週末の試合にアイブラックを試験的に導入。その効果は早くも試合前から表われた。
「おお、メジャーリーガーっぽい!」
その面構えに敵味方から注目が集まったのだ。だが、注目されると舞い上がる筆者は、チャンスに凡退を繰り返した。