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「ハタケさん元気っすね」36歳畠山健介の尽きないラグビー愛とリーグ3部からの挑戦…取材中に見せた樹木希林と似る“鋭さ”とは? 

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イワモトアキト

イワモトアキトAkito Iwamoto

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photograph byAkito Iwamoto

posted2022/01/11 11:00

「ハタケさん元気っすね」36歳畠山健介の尽きないラグビー愛とリーグ3部からの挑戦…取材中に見せた樹木希林と似る“鋭さ”とは?<Number Web> photograph by Akito Iwamoto

畠山健介(36歳)が選んだ新天地は、リーグワンDivision3の豊田自動織機シャトルズ愛知。残念ながら第1節は中止となったが、初陣に向けて準備を進める

 深い考察にうんうんとうなずきながら、右顔のインタビューカットを終えて左側へと移動する。カメラを構えるとハタケさんの手が「スッ」と伸びた。フレームインしていたペットボトルのお茶をそっと移動させるその姿に、鋭い感覚と人間的な優しさを感じた。

 その時、思い出したのは新聞社時代にインタビュー撮影した樹木希林さん。彼女もカメラの動きに合わせてテーブルの上のコップを動かしてくれた。目の前の記者だけではなく、脇に構えるカメラマン、そしてその先の写真にまで配慮とイメージが届く。誰にでもできるようで意外とできない。小さなことだが大きな意識の差がそこにはあると思う。

 トップリーグ、海外挑戦、W杯……。多くの出会いと経験が畠山健介を大きく成長させ、今はそれをはるかに超える場所にいるように思える。

 忘れもしない大学4年間、筆者は明治大の学生クラブのスクラムハーフだった。冬の早明戦は毎年お祭り。ピッチを縦横無尽に駆ける早大フィフティーン、あの当時、明治の勝利は遠かった。試合後に安酒をあおりながら「ハタケもゴローマルもハンパないって!」とクダを巻き、新宿コマ劇場前で朝を迎える。コロナ禍の今では考えられないが、今思えばなんとも幸せな学生生活だった。ハタケさん、楽しい時間をありがとう。

 デルタの次はオミクロン、まだまだ困難は続くが、何はともあれ今を大切に、そして何より「楽しんだもん勝ち」。ニカっと笑うハタケさんの姿を見ているとそう思わずにはいられない。

【次ページ】 早稲田時代やシャトルズの楽しそうな練習風景

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畠山健介
豊田自動織機シャトルズ愛知

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