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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
中島翔哉は「市場価値10分の1」になったけどポルトガルで復調… それでも日本代表復帰に向けて“2つの懸念”とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGualter Fatia/Getty Images
posted2022/01/09 17:01
ポルティモネンセで復調の兆しを見せている中島翔哉。日本代表でその創造性あふれるプレーを再び目にできるか
ポルティモネンセでの入団会見で、中島は「ここへ戻って来れて嬉しい。良いプレーをして、日本代表にも復帰したい」と顔を綻ばせた。懸命にリハビリに励み、10月中旬、ポルトガル杯の試合で先発して74分間、プレーした。公式戦のピッチに立ったのは、8カ月ぶりだった。
そして11月6日、リーグ第11節のベレネンセス戦でも先発。ゴール前で左からのクロスを受けると、マーカーをかわして右足で強烈に蹴り込んだ。2019年12月以来、実に1年11カ月ぶりの得点。ポルトガルのスポーツ紙「ア・ボーラ」は、中島をこの試合のチームMVPに選んだ。
11月27日の第12節ファマリカン戦でも先発すると、左からクロスを入れ、これが相手のオウンゴールを誘った。さらに、ゴール前でDFに囲まれながらスルーパスを通し、得点をアシスト。2得点にからむ活躍で、「ア・ボーラ」は再び中島をこの試合のチームMVPに選んだ。
「創造性は素晴らしい」という絶賛、強豪相手に奮闘
この2試合で、ポルティモネンセのパウロ・セルジオ監督は中島を左サイドではなくトップ下で起用した。セルジオ監督は「中島の創造性は素晴らしい。彼の特長を最大限に生かすには、サイドより中央のポジションが良いと考えている」と説明した。
11月、中島はリーグ戦の3試合すべてに先発して1得点2アシスト。ポルトガル杯でも1試合に先発して2アシスト。ポルトガル選手協会は、11月の月間最優秀選手投票で中島を3位に選んだ。地元メディアは「小さな日本人マジシャンが、以前のような輝きを取り戻した」と称えている。
その後、12月12日のリーグ第14節でも先発したものの、後半、内閉鎖筋を痛めて交代。しかし、29日のリーグ第16節のスポルティング戦(アウェー)ではトップ下で先発した。
スポルティングは昨季のリーグの覇者で、今季も試合前の時点でポルトと同勝ち点の2位。欧州チャンピオンズリーグにも出場しており、GSで2位に食い込んでベスト16入りしている。ポルトガルはもとより、欧州でもトップに近い実力を持つ強豪だ。
中島は、前半10分、左のタッチライン沿いでボールを受けると、キレのあるドリブルで中へ切れ込み、マーカーをかわして右足で無回転のミドルシュート。GKが辛うじて手で弾くと、バーに当たって前へ落ちたが、見事なプレーだった。
その後も中盤を広く動き回り、ドリブル突破と巧みなパス回しで相手に脅威を与え、後半40分までプレー。チームは2-3で惜敗したが、「ア・ボーラ」は「試合を通じて危険な存在であり続けた」と称賛し、3試合続けて彼をチームMVPに選んだ。故障から復帰してまだ2カ月余りだが、トップフォームを取り戻しつつあると考えていいだろう。