プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「あれ、猪木ガウンだよね」東京ドームの激闘を制した王者オカダ・カズチカが病床の“燃える闘魂”にエール「またこのリングに…」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/01/07 11:05
東京ドームでのオカダ・カズチカのガウンとタオルは、難病と闘うアントニオ猪木をイメージしたものだったか
この内藤の申し入れをオカダはあっさりと受けた。
「なんか、久しぶりな感じがしましたね。2020年の1.5で負けた相手ですし、10年前の2012年、ボクがレインメーカーとして新日本プロレスに帰ってきたときに、初めて防衛戦をした相手。40周年の旗揚げ記念日にも戦った相手なので、10年経って、またやるのかなと。50周年を盛り上げたいですから、ふさわしい相手じゃないかなと思います。ただ適当に出てきた相手ではなく、実績もありますし、ワクワクしますね。ボクと内藤さんが向き合っただけで、次のシリーズが楽しみになっている人もいると思うので、止まらないですよ」
IWGP戦は新春黄金シリーズ最終戦、2月20日の札幌・北海きたえーるで行われる予定だ。
オカダが送った「猪木へのメッセージ」とは
50周年という節目、新日本プロレスは上半期のビッグマッチ会場を発表した。3月1日、2日は日本武道館。3月26日、27日は大阪城ホール。4月9日、両国国技館。5月1日、福岡PayPayドーム。6月12日、大阪城ホール。福岡ドームでの『レスリングどんたく』開催は、実に21年ぶりになる。
オカダはファンへのマイクの途中で言葉を詰まらせて、何度か目頭を押さえた。顔を覆う場面もあった。涙ははっきりとは見えなかったが、オカダはこんなことを言った。
「昨日、目に当たってそれが痛いなというだけだったんですけどね。やっぱりボクは歓声のある中で試合したいですし、ボクだけじゃなくて、お客さんもそうだと思うんですよ。やっぱりそういう中でのプロレスが楽しいと思いますし、無観客でやるってのはすごく淋しいこと。無観客でやることっていうよりも、2020年のような状態で……」
オカダはオカダの中にあったモヤっとしたものから、ようやく解放されたように見えた。物議をかもしたIWGPヘビー級4代目ベルトにも4日、東京ドームのリング上で“お別れ”をした。
「もうひとつだけ」とオカダは創始者の猪木にリング上からメッセージを送った。
「猪木さん。オレはこの新日本プロレスのリングの上に、猪木さんが上がってくれるのを待っています。『元気があれば何でもできる』。そうでしょう。猪木さん、しっかりと元気になって、またこのリングに上がって下さい」