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“高校6冠”経験者・中根聡太監督(25歳)が挑む2度目の春高「指導者って難しいけど、面白いし、幸せですよ」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/01/04 06:00

“高校6冠”経験者・中根聡太監督(25歳)が挑む2度目の春高「指導者って難しいけど、面白いし、幸せですよ」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

昨年の春高で監督デビューした中根聡太(25歳)。高校時代は石川祐希とともに“6冠”を達成した

 第4セットを25対15で星城が取り返し、最終セットは15対12。僅差で迎えた終盤、12対11から試合を決めたのは、試合開始直後と同様に、迷いのないサーブで連続得点した浜崎のサービスエースだった。

 まさに勝利の立役者と言うべき活躍。だが実は、浜崎の起用について総監督の竹内と中根の見解は違っていた。浜崎は高さと攻撃力の部分で2年生にやや劣る。中根は短期決戦の春高予選ではリザーブに回したほうがいいと考えていた。しかし竹内は「勝負所で絶対に浜崎のサーブが走る」と確信していた。

 漠然とした勘ではない。長年、高校の指導現場で多くの選手を見てきた裏付けがあった。竹内は語る。

「浜崎は試合のスタートと競り合った終盤、5セット目の勝負所という場面でアドレナリンが出るタイプの選手なんです。だから、むしろこちらは『思い切って行け』ではなく『深呼吸!』と落ち着かせる。フーッと息を吐いて、自分のリズムでサーブを打った時に相手を崩す確率は非常に高い。だから2セット目以降、サーブが走らなくなっても『絶対また来るから、ここは使い続けよう』と僕は思った。

 そう思いながら腹の中にしまっておくのは嫌なので、何でも中根に言います。彼はVリーグを経験しているわけで、僕とは見方も感じ方も違って当然。だから中根と2人で答え合わせをするのが楽しいんですよ」

 指導者には正解がないから難しい。苦笑いを浮かべながら、中根は言う。

「竹内先生という模範解答に相当する指導者が一番近くにいてくれて、毎日いろんな話ができる。ものすごく恵まれた環境で、一日中バレーボールが見られる。指導者って難しいけど、面白いし、幸せですよ」

【次ページ】 将来を見据えた指導と、目の前の勝利

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