将来を担う選手の育成だけでなく、私立の高校である以上は結果も求められる。選手時代とは異なる経験を重ね、監督として中根が迎える2度目の春高が間もなく始まる。

　城東（徳島）との初戦を皮切りに、準決勝、決勝へ勝ち上がるためにはインターハイ準優勝の駿台学園（東京）や高い攻撃力を誇る日南振徳（宮崎）、仙台商（宮城）など強豪がひしめくブロックを勝ち抜かなければならない。

「まいっちゃいますね」と笑いながらも、視線を未来へ向ける。

「東京オリンピックで男子バレー日本代表が日本中の方々の心を震わせるようなバレーをしてくれたので、今後のバレーボールに期待感が持てると思う。自分もいつかはそういう選手を育てたい。そんな選手たちと同じ時を過ごしたいな、という感情も芽生えてきました」

選手たちに胴上げされる中根監督　©︎Yuko Tanaka

　3年間のみならず、選手たちのそこから先も見据えた指導者となるべく歩む。模範解答と照らし合わせながら、自らの正解を探す。中根先生の終わりなき日々は、まだまだ、これから。始まったばかりだ。