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大田泰示「ハマスタは一番興奮する球場ですよ」神奈川に帰ってきたスラッガーが熱く語る新天地DeNAでの決意
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/12/23 11:06
東海大相模高時代、ハマスタを沸かせたスラッガーがついに戻ってきた。巨人、日本ハムを経て成長した姿を見せてくれるはず
チームの扇の要である伊藤光のSNSには、大田のバッティングフォームを物真似する上茶谷大河の様子が映し出されており、大田の笑いを誘っていた。
「すごく和ませてもらいました。いや、ああいうふうに物真似されるのって、ちょっと嬉しいですよね」
チームに馴染むのも、そう時間は掛からないだろう。
さて来季、大田にとっては背番号0からのリスタート。大事な1年になるのは言うまでもない。だがDeNAの外野陣は、佐野恵太を筆頭にタイラー・オースティン、桑原将志と3割打者を揃える強烈な布陣だ。とはいえ人は人、自分は自分。かつて日本ハムに移籍したときのように新天地で再び花を咲かせるつもりだ。
「チームから求められているのは、自分の持ち味を活かすということ。広い札幌ドームから浜風もあるハマスタでプレーすることの意味をしっかり考えたい。僕自身、中距離打者だと思っているんですけど、もうちょっとコンタクトの確率を上げていくことができれば、必然的にホームランも増えていくと思います」
もうひと花咲かせるための課題
では、今季悪循環になってしまったバッティングをどう立て直していくつもりなのか。
「結局、行き着いた結論はシンプルに打つことです。じつはそれが一番難しい。例えばボールを上げようと変にバットに角度を付けるなど枝葉の部分ばかりに目が向きがちなんですけど、いや待てよ、と。やっぱり幹の部分が重要で、このオフはそこを作っていくことが大事になってくると思います」
ベースをしっかりと練り上げた、シンプルなバット出し。言うは易く行うは難し。しかしDeNAでこのようなバッティングを実践しているのが首位打者経験者の宮崎敏郎や佐野恵太だ。また今季大ブレイクした牧秀悟にも相通じるものが感じられる。
「だから僕としては、先輩後輩関係なく、いろんな人に話を聞きたいんですよ。なにを意識して、なにを大事にしてバッティングをしているのか。すごく楽しみにしています」
またDOCKに備えられた最先端の機器にも大田は興味を示しており、今季の悪夢を繰り返さないようなアプローチで能力向上に努めるつもりだ。
期せずしてこのオフ、話題の選手として注目を浴びてしまった大田だが、チームも決まりもう前しか見えていない。
「野球選手である以上、ユニフォームを着られることが一番嬉しいことなんです。契約してくださったチームのために働き、ともに喜びを共有する。そして球場が一体となることが野球の醍醐味というか幸せだと思うんですよ。僕は1日でも長くユニフォームを着つづけたいと思っているので、ベイスターズの勝利に貢献して、リーグ優勝、日本一を目指していきたい。とにかく自分の役割をまっとうしたいと思います」
聖地ハマスタに帰ってきた、かつての神奈川県のスター。あのときの躍動を彷彿とさせるプレーを見せ、チームに新風を吹き込んでくれるのか、今から楽しみだ。