ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
大田泰示「ハマスタは一番興奮する球場ですよ」神奈川に帰ってきたスラッガーが熱く語る新天地DeNAでの決意
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/12/23 11:06
東海大相模高時代、ハマスタを沸かせたスラッガーがついに戻ってきた。巨人、日本ハムを経て成長した姿を見せてくれるはず
負のループにはまり込むことは珍しいことではないが、大田は31歳。老け込む歳ではないものの、シーズンが終わり久しぶりに胸のざわめきを覚えたという。日本ハムのチームスタンスを考えればリリースされてもおかしくない。そして予感は的中した。ハードラックといえる出来事ではあるが、大田は冷静に自分自身を振り返る。
「改めてファイターズのファンにはとても感謝しています。ただ、これはこれで貴重な経験だと捉えているんです。こういう失敗がないと次に進むとき、こうやれば成功できるだろうって確信が持てない。活躍している選手を見ても、苦労している時期はありますし、僕としてはこれを転機とし、自分のバッティングを見つめ直し、確立したいと思っているんです」
噛み締めるように、それでいて柔らかい表情で大田はそう語った。
吉報は、12月8日の合同トライアウト後に届いた。横浜DeNAベイスターズから、ぜひ来て欲しいという連絡を受けた。
「安心しましたね」
大田はそう言うと表情を崩した。
他球団からも誘いはあったという。もちろん条件面や金銭面などいろいろ要因はあったとは思うが、ここはシンプルにひとりの野球選手としての大田に訊きたい。
なぜDeNAを選んだのだろうか?
東海大相模、tvk、ハマスタへの思い入れ
「高校は東海大相模に行きましたし、やはり神奈川には縁があるのかなって。神奈川の高校野球が僕を育ててくれましたし、恩返しじゃないですけど、なにかを残せれば嬉しいなって思ったんです。それに僕は高校時代、tvk(テレビ神奈川)を見て育っているので、やっぱり青のタテジマには特別な思いがあります。早くハマスタでユニフォームを着てプレーしたいですね」
横浜スタジアムは好きな球場?
「もちろんです。ハマスタは県予選の開会式が行われ、そして甲子園出場が決まる場所ですから神奈川でいったら聖地ですよね。今でも一番興奮する球場ですよ」
12月20日の入団会見に先だって、数日前からDOCK(ファーム施設)でトレーニングを開始した。訪れた選手たちと挨拶をかわし、体を動かし汗をかいている。大田は果たしてベイスターズにどんなイメージを持っていたのだろうか。
「じつはジャイアンツ時代一緒だった中井大介さんとファームの試合で会ったときに、いろいろお話しさせてもらっていました。その後まさか自分が来ることになるとは思っていませんでしたが、中井さんは、気持ちよく野球をさせてもらっているとおっしゃっていて、雰囲気のいいチームなんだろうなって。実際、数日ではありますがDOCKで練習をさせていただいて、それは実感しています」