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「とにかくハッスルしてくれ」SR渋谷の新星マックス・ヒサタケがパワフルなダンクで首位争いを牽引中!
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byB.LEAGUE
posted2021/12/18 11:00
アメリカ生まれでイリノイ工科大学を経て今夏にSR渋谷に練習生として参加、ケリーの故障離脱に伴いプロ契約を結んだヒサタケ
そんな状況からSR渋谷が立て直すことができた要因の一つとして、マックス・ヒサタケの名が挙げられる。開幕前の8月31日に練習生として加わることが発表されたアメリカ国籍のヒサタケは、203センチ105キロのインサイドプレーヤー。外国籍選手の枠の関係で選手契約はしていなかったが、ケリーのインジュアリーリスト登録を受けて契約し、10月9日の第2節、秋田戦から出場している。その試合がわずか58秒の出場であったことからもわかるように、当初は外国籍選手のバックアップとしてプレータイムが限られていた。
しかし、その類稀なジャンプ力が徐々に発揮されるようになると、それに伴ってプレータイムも増加。ジョシュ・ハレルソンがベンチ登録を外れた11月14日の広島ドラゴンフライズ戦ではスターターに抜擢され、31分9秒の出場で12得点10リバウンドをマークしている。
23歳と若く、まだ粗削りではあるが、その高い身体能力は魅力。伊佐勉ヘッドコーチも、その能力を宝の持ち腐れにしない思い切りの良さをヒサタケに求めている。
「身体能力に長けているので、本人にはとにかくハッスルしてくれと言っている。スクリーンをかけた後は全部ゴールにダイブして、チャージングを取られても良いからダンクに行けということも言っています」
ヒサタケの成長がチームの命運を握る
実際のところ、ヒサタケが身につけなければならないことは多い。12月11日の第10節、新潟アルビレックスBB戦ではハレルソンがファウルトラブルに陥り、ヒサタケとジェームズ・マイケル・マカドゥが同時にコートに立つ時間が比較的長かったが、伊佐HCによればこの2人の組み合わせは練習では全くやっていない。そのため、特にオフェンスに関しては「毎回ベンチから指示を出し、クリエイトできるガードも出して、最低限のシュートが打てるようなオフェンスをしてもらっている」(伊佐HC)とのことだ。
それでも、「まだまだかなと思いますが、これがチームとして武器になってくると、もう少し我々の強みが出せるとは思っています」と試合を重ねることで磨き上げていきたいと伊佐HCは語る。ヒサタケがコートに立つ時間帯の戦い方が計算できるレベルになると、SR渋谷の戦術はより幅が広がるというわけだ。
経験豊富なケリーの代役とまではいかなくとも、ハレルソンやマカドゥの負担を減らすだけにとどまらない活躍は既に披露できている。ケリーの戦線離脱が長引けば長引くほど、ヒサタケの成長がSR渋谷の命運を握ることになるだろう。