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「今の感じでできるのはあと3年くらいかな。だから時間との勝負」酒井宏樹31歳が語った本音《名門マルセイユを自ら退団》
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2021/12/18 17:04
今年6月に浦和レッズに加入し“日本帰国”を選択した酒井宏樹。なぜフランスの名門・マルセイユを自ら退団したのか?その理由を聞いた
「やっぱり、助っ人外国人としてきているので活躍できなければ去る、という強い思いがあったんです。その気持ちで保ってきた部分もあって、嘘はつけないなというか」
外国人枠を使うということは、クラブはそれなりの負荷を背負うことになる。例えば、ビザの手続きやかかる税金といった行政とのやりとりもあれば、選手サイドも家族のケアや住居、渡航に関することなど多くを要求する。だからこそ、その分プレーで結果を出さねばと酒井は考えていたと言う。とはいえ、クラブから放出候補に挙げられたわけでもなく、自ら望んでの退団だ。
「移籍ってしたいと思って急にできるものでもなくて、市場は半年に1回しか開かないし、その時のチーム状況、選手の状況、移籍先の状況など全部一致しないとできないんですよね。ただ、今回の浦和移籍でいえばそれが一致したので、これは巡り合わせなのかなと思いました」
「ACLを取りたい。だから、時間がないんですよね」
欧州5大リーグの2つを経験し、31歳での帰国。傍目には、常に上昇を目指してきたキャリアが別の段階に入ったことを感じるが、本人としてはどのような感覚なのだろうか。キャリアの積み重ね方を考えることはあるのだろうか。
「それはありますよ。前からあるんです。欧州にいればいるほど一人になる時間は多くていろいろ考えますし。僕の場合は逆算して、計算してキャリアを積み重ねてきた。この年齢でこのリーグに行ってみたいなども考えてきましたし、その中にはもちろん日本でプレーしたいという気持ちも強くあったんですよね。柏時代にはリーグ優勝を経験しているんですけど、ACLを取りたいというのがあって。それはヨーロッパにいる間もずっと思っていたんです。だから、時間がないんですよね」
時間がない、とはどういうことか。長く現役を続けている選手も多いが、酒井は早い時期の引退を考えているということなのか。
「ハイレベルな中でプレーして、今の僕の感じでできるのはあと3年くらいかなと思っています。だから時間との勝負かなと思っていて、そこには全力をかけたいと思っています」
ただ、当然ながら決して引退を急いでいるわけではない。
「“挑戦!”と言うタイプでもないですしね」
「40歳になって自分が納得するパフォーマンスができていればそれはもちろんやるんでしょうけど、最低限のラインで考えておかないと自分が嫌な気持ちになってしまうんですよね。なので、結果的にもっと長くできたらいいな、くらいの低い予想をしておかないと、と思うんです」