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JリーグPRESSBACK NUMBER
「今の感じでできるのはあと3年くらいかな。だから時間との勝負」酒井宏樹31歳が語った本音《名門マルセイユを自ら退団》
posted2021/12/18 17:04
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
AFLO
2021年夏、多くの日本人選手が帰国を選択した。目立ったのは欧州でしっかりとした実績を残している現、もしくは元日本代表選手たちの帰国だ。仮に現在代表に選ばれていなくとも、最後までカタールW杯行きを狙うであろうという選手たちだ。中堅からベテランに差し掛かる彼らの移籍は、時の流れを感じさせるものもあれば、まだ欧州でのプレーを見たいのに、と思わされる移籍もあった。
酒井宏樹の場合はどうだろうか。
リーグ・アンの強豪であり歴史ある名門マルセイユで20-21シーズンもレギュラーとして26試合で先発している。21-22シーズンもそのままマルセイユでプレーすることも可能に見えたが、帰国、浦和レッズに加入した。31歳、選手としては円熟味を増し、重ねた経験の分だけ説得力のあるプレーを見せてくれる酒井は、なぜこの夏の帰国を選択したのか。本人に話を聞いた(全2回の1回目/#2に続く)。
◆◆◆
移籍を意識したのは3年前
酒井自身が移籍を意識したのは、実に2シーズン前、19-20シーズンの前半だという。20年3月、新型コロナウイルス流行のためフランスリーグは中断し、その直後に酒井は左足首を手術しているのだが、痛みを抱えながらプレーしている期間、その思いがよぎったと言う。
「ずっと痛みを抱えていたんですが、チームの状況もあって手術できなくて。本当はその3カ月前にでも(ウインターブレイク中に)手術したかったんです。もう体もめちゃめちゃで、バランスも崩れていましたし。マルセイユに移籍して4シーズン目で、初めて調子の悪いシーズンを過ごしていました」
痛みも手術希望も伝えてはいたが、右サイドバック(時には左も)のファーストチョイスであることは明らかだった。だが酒井自身は不調を感じながら、もう一歩踏み込んだ感覚を持つようになっていった。
「チームを離れる時がきたのかなと思いながらプレーしている時もありました」
“たった3枠の外国人枠”を使う責任「嘘はつけない」
ドイツやオランダでは外国人枠は存在しないが、フランスリーグでは各チーム3人までという外国人枠制度がある。その1枠を使っているという責任感が大きかった。