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球界最小“身長164cm”滝澤夏央が自問した「自分の持ち味って何?」西武スカウトも期待する抜群のスピード、目標は源田壮亮 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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posted2021/12/12 11:01

球界最小“身長164cm”滝澤夏央が自問した「自分の持ち味って何?」西武スカウトも期待する抜群のスピード、目標は源田壮亮<Number Web> photograph by Fumi Sawai

あどけない笑顔を見せる関根学園高校3年の滝澤夏央。今秋ドラフトで西武に育成2位指名を受け、10日の入団会見に出席した

「高校に入学した頃、甲子園は大きな目標でしたが、プロへの憧れもありました。でも、自分の実力では厳しいのかなと。昨秋の新チーム結成当時は3番を打っていたので長打力や打点にこだわる部分もあったのですが、スカウトの方が自分の守備や俊敏性などを見に来てくれていることを知って、スピードについて考えるようになりました」

 自分の持ち味とは何か。もちろん、チームが勝つために鍛える要素は多かったが、自分の長所をもっと生かすことも大事だと考えた。

「1年の冬と2年の冬では、練習に対する意識や取り組みはすごく変わりました。特にスピードへの意識です。秋の負けがあったから追い込めたこともありますが、厳しい練習でも“もっともっと”と思えるようになりました」

 3年春の県大会大会では、準決勝の新潟明訓戦で3打数3安打3得点、1盗塁。決勝では新潟産大付に敗れたが、その試合でも初回に右前安打で出塁し、二盗さらに三盗を決めるなど足で魅せた。4回からはマウンドに立ち、5回を1安打無失点とほぼ完璧なピッチングを披露。

 以降は腰痛で戦列から離れ、夏の県大会直前までの練習試合にもその姿はなかったが、夏の新潟大会準々決勝の日本文理戦でいきなりマウンドに立って実戦復帰。ぶっつけ本番ながら9回まで2失点と粘投を見せた。しかし、延長10回に3点を失ってチームは敗れ、甲子園出場は夢と消えた。

部活を引退した今も毎日グラウンドに

 本来なら投打で完全燃焼して終わるはずだった高校野球は志半ばのままで終えることになったが「その時に限らず高校ではケガが多かったので、今後はケガをしないように体をしっかり作って活躍することが恩返しだと思っています」と、今はすっきりとした表情で振り返ることができる。

 夏の大会後も、ドラフト後も現役時代と同じように、授業が終われば練習着姿で毎日グラウンドに顔を出す。安川巧塁監督は「現役の選手が逆に滝澤に合わせて練習しているんですよ」と笑うほど、今でもチームの柱であり、後輩たちにとってもかけがえのない存在なのだろう。

「スカウトの方からは、今の体を維持して、持ち味であるスピードを落とさないことを意識して練習するように言われています。体を大きくするのではなく、今の身体でスピードは生かせるから(大きくしなくてもいい)と。高校での2年間は、全体的に成長したとは思うけれど、元々レベルが高くなかったので、まだまだやることが多いです」

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