リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
“ニュー・ネイマール”がC・ロナウドの後継者に! 21歳ビニシウスはなぜ4年目にして本格化できたのか?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/12/08 17:00
今季、レアル・マドリーで好調を維持するビニシウス。期待された逸材がついに覚醒の時を迎えるか
バケーション中も砂浜で身体を鍛え続けた
結局のところ、少なくともこの世界では、才能だけで事を成し遂げるのは無理なのだ。筆者は以前、シャビやアンドレス・イニエスタからバルサのカンテラの同期に「自分より巧い子は何人もいた」と聞いたことがある。
世界レベルのクラブでは、巧いだけではトップチームにさえ辿り着けない。
ではビニシウスは、自分のために、チームのために、どのように備えてきたのか。
ADVERTISEMENT
肝心の体調管理は、2019年3月のチャンピオンズリーグ・アヤックス戦で負傷してから雇っているブラジル人トレーナーを頼りにしてきた。彼の指導の下、試合後は脚を労り、ケガを予防するために地味なトレーニングも軽視することなく、一方でスピードとパワーを強化してきたという。
監督交代を知った今年の夏は、バケーション中も砂浜などを利用して身体を鍛え続けたそうだ。
また食生活も見直した。フランス出身の料理人を雇って、サッカー選手に必要な栄養を適切なタイミングで適量とるようにしてきたという。
39人ものスタッフで周りを固める
精神面の安定もある。
ブラジルのウェブサイト『オ・グローボ』によると、現在のビニシウスはトレーナーやシェフを含め、実に39人ものスタッフ(うち12人は専属)で周りを固めているのだとか。そのほとんどは肖像権管理等の財務や法務に関わるビジネスサイドの人間だが、おかげで諸事に気を取られなくなったのであれば、これも彼なりの準備と言えるだろう。
ちなみに39人の給金をどのように賄っているのか定かではないが、ビニシウスの年俸(手取り固定給)はチーム最低クラスの320万ユーロ(約4億1000万円)である。
パフォーマンス向上の恩恵か、昨季はビニシウスを非難する言動が報じられたカリム・ベンゼマとの連係も良くなり、どちらかが出したパスをもう一方が決めるシーンも頻繁に見られる。
そうした努力と準備により、クリスティアーノ・ロナウド退団後ずっと空いていたR・マドリーの「信頼できるアタッカー」の座に、ビニシウスは就こうとしている。