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「家事は女性がやるもの…だった」Jリーガー大久保嘉人39歳の価値観が激変…9歳の三男と“大阪2人暮らし”で「得意料理は魚の煮付けです」
posted2021/12/05 11:03
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Katsuyuki Masuda(SIGNO)
今季限りでの現役引退が決まっているセレッソ大阪の元日本代表FW大久保嘉人。J1で挙げた191点が歴代最多ならば、もらったイエローカード104枚も歴代最多である。
若かりし頃には試合中に暴言を吐いたり、危険なプレーも厭わず、退場処分を受けたことも少なくなかった。退場は12回で、ドラガン・ストイコビッチ(元名古屋グランパス/13回)に次ぐワースト2位に名を連ねている。
闘争心溢れるプレーで多くのゴールを生み出した一方で、ときに不要なカードでゲームを壊してしまったこともあった。それが引退に際し大久保が「最も批判され最も愛された選手」と称される所以でもある。
過去にそんな選手がいたかといえばノー。その点で大久保は、これまでの常識を覆してきた選手だったといえるかもしれない。
9歳の三男と“大阪2人暮らし”
そんな大久保は、今季15年ぶりにセレッソ大阪に復帰すると、ピッチ外でも大きな注目を浴びてきた。先月発売された著書『俺は主夫。職業、現役Jリーガー』(講談社)に詳しく記されているが、9歳で小学4年生の三男・橙利(とうり)くんと大阪で2人暮らしをし、子育てに奮闘しながらJリーガーとしてプレーしていたのである。いったい、どんな暮らしぶりだったのか。
昨季まで大久保は国見高の同級生だった妻の莉瑛さん、15歳の長男碧人(あいと)くん、11歳の次男緑二(りょくじ)くん、三男橙利くん、4歳の四男紫由(しゆう)くんと、神奈川県で暮らしていた。
セレッソ大阪へ15年ぶりの復帰が決まったときは、子どもたちの学校のこともあって、家族は神奈川に残して1人で大阪へ行く予定だった。ところが、三男の橙利くんから「オレも行きたい」と告げられると、莉瑛さんの心配をよそに、橙利くんを連れて“子連れ単身赴任”生活をスタートすることになった。
一般的には親が子どもを説得すべき場面かもしれない。だが、大久保には大久保なりの考えがあったという。
「橙利が付いてくると言ったときにどう思ったか? オレは単純に1人よりも、誰かいてくれた方がいいなというタイプだから、ダメだとかそんな風には思わなかったですね。自分も中学入学のときに親元を離れて国見に行ったことで人として成長できた部分があったし、橙利の場合も大阪に来ることで、いい経験、成長できることがあるんじゃないかという思いがありました。
家族と一緒に暮らしていたとき、料理も洗濯も家事はすべて妻の莉瑛に任せていたから、“子連れ単身赴任”はすべてが初めてのことで慣れるまでは大変でした。試合で遠征のときは福岡の実家の母親に来てもらって。周りのみなさんの助けがなければ絶対にできなかったとも思います。ただ、オレのなかでは大変とかではなく楽しいの方が勝っていましたね」